17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

作画だけで全てを伝える理想「リトルウィッチアカデミア」

Ads

f:id:EAbase887:20170123155124p:plain

リトルウィッチアカデミア 視聴フル

 

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 トリガーがコンスタントに質の高い作品を提供できているベースには、やっぱりTVで放映する商業アニメーションの手法を、日米の方法をともに熟知し、意図して使っているゆえだと思ってます。まあウェルメイドなライトノベルのアニメ化も差しはさみつつも、ここ数年間で放映された作品で『キルラキル』『ニンジャスレイヤー』『ルル子』とどれも素晴らしいんですよ。

 

 でも上に挙げた作品はどちらかというとアメリカのリミテッドアニメ―ション的であり、日本の商業アニメならではの省力ゆえの技法*1を再解釈している傾向が強かったため、ルル子は一目では評価に難しい短編アニメですし、ニンジャスレイヤーは最初けっこうな反発を招いてました。

 

 そこでトリガーの若手育成プロジェクトとしてスタートした「リトルウィッチアカデミア」は、そんなリミテッドアニメならではの手法を再解釈するようなデザインを取っておらず、ほんと単純にキャラクターのしぐさやアクション、エフェクトの鮮やかさといった、いわゆる作画アニメといわれる面白さを追求した出来になっています。

 

 

 やっぱり作画そのものを楽しませるように、キャラクターに余計な装飾も影の量もグラデーションをつけたフィルターもなく、非常にシンプルな画面構成を取っています。そこで描かれるキャラクターのアニメートも破格なんですよ。わかりやすいアクションはもちろんですけど表情、しぐさといった細かいところまで、可能な限りキャラが生きてるように動かしてます。他のアニメだったらそこを動かすこと・そういうしぐさを見せるようなシーンはけっこうな労力でもあるので、コンテ段階から外されると思うんですけど、本作では描き切ります。

 

 前回くらいに『スクスト』でキャラの表情が硬いと各キャラの差別化もキャラ立ちもままならないみたいな話をしたんですが、そういう意味でもほんとうに丁寧に各キャラクターのアクションと表情のアニメートで、性格とキャラ立ちを行っています。モブも素晴らしいですよね。一目でそれぞれキャラ立ちしてるのがみえますもん。

 

 しかし一方で企画的な面白さ・ジャンルを再解釈する文脈的な面白さがいささか弱いのは否めません。むずかしいです。ぱっと見はかなりありきたりな魔法少女ねた・魔法学園ねたですもん。国内アニメでの魔法少女ねたではまどマギが立ちふさがり、魔法学園ねたではハリーポッターのJKローリングの映画版のデザインが立ちはだかっており、いずれもありきたりな魔女とか学園とかのビジュアルそのままはなく、現代のカジュアルなところや、アートアニメっぽいアプローチもまぜこんでいるんですよ。

 

 若手育成プロジェクトからスタートということで、キャラクターのアクションやしぐさ、感情表現のアニメートを特化できるように基本の企画やビジュアルの難易度を抑えているからなんだと思います。でも難しいことに、ひとは作画のおもしろさだけで見てられるわけではないようなのです。もう一歩現代ならではのデザインを詰める企画や、さすがに紺色のローブに三角帽子っていうのはまんますぎるから、続編(というかスタッフが重なる形の次のプロジェクト)ではジャンルをもうすこし一歩踏み込んでほしいですね。「まどか」的にメタにジャンルの構造見るとか、またそんな嫌がらせのようなことせずとも「ローリングガールズ」的にファッションやデザインから変えるかで新味をだしてほしいですね。

 

 去年の『フリップフラッパーズ』もそうだったんですが、『リトルウィッチアカデミア』の面白さも、変な話レトロなところにあると思います。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

 

 

*1:なんで日本の商業アニメの手法をここではリミテッドアニメと評さないかは、過去の記事のこちらを参照ください。

 

teenssexandwarmode.hatenablog.com

 

 

teenssexandwarmode.hatenablog.com