17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

このオリジナリティのなさは、逆にアイドルアニメ市場の成熟を示すのかも『BanG Dream!(バンドリ)』

Ads

f:id:EAbase887:20170117011145p:plain

 

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。今回先に書いとくと、“女の子数人のグループがメインである・実際の声優がアニメの楽曲をライブで演じる・多数のメディアミックスを行う”あたりを総称して、アイドルアニメとくくっております。本作の内容はバンドですけど。

 

 露骨なくらい「けいおん」と「ラブライブ」と過去の成功例をミックスした類書。この確信犯での類書っぷりを誰が企画したのかというとブシロードというのはなんだか腑に落ちるというか…絶対これある一定の数字が見込めるところからスタートしてます。ラブライブとかアイマスみたいな声優ライブまで含めたアイドルアニメ系のメディアミックスの市場規模から、類書を作ったとしてどれくらいの利益があらかじめ見込めるかってところから逆算して企画されている感じがアニメのデザイン、楽曲に満ちています。しかしバンドリ!って4文字の略称とか、どんだけ置きにいってるんだよ!

 

 

 一個ずつみていくと、キャラクターの顔の描き方やヘアスタイルなどわりとゴテゴテのデザインながら、髪のグラデ―ションのかけ方、白くフィルター入れて淡く見せる画面作りで淡さもデザインしておくというやりかたは、まんまラブライブです。

 

 止め絵のキャラクターデザインを重視するラブライブ型は、キャラデザに物量を注ぎすぎるので、手描きのアニメートってそこまで細かくは作んないんですがそれも一緒。「けいおん」はあれはキャラデザの物量はそこそこにして、細かい仕草や動きのアニメートにかなり気を使ってたんですが、いまそういうのが見たいとおもったらけっこう限定されるんでしょうか…「リトルウィッチアカデミア」とか。前のシーズンなら「フリップフラッパーズ」とか。作画に特化して、企画力は弱めで題材やストーリーとかあんまり興味ないってやつですね。なかなか企画力と細やかな手描きのアニメートが一致するケースってないんですよ。

 

 ブシロードによる、ここまで置きに行ってる戦略を見ながらいろいろ思いましたよ。ここまで差別化しない、売れた要素を器用に抽出した企画を出してもある程度は利益が見込めるほど、今のメディアミックス主体のアイドルアニメ市場というのは成熟したということなんでしょうか?用は類書なのにぜんぜんトップと差別化しないんだな~ということは、単純にこの企画と心中するつもりはないというのがやっぱわかるんです。

 

 現実のアイドルも絶対市場規模から計算して企画してるとこはあると思うんですけど、ベッタベタなくらいのAKBとかの類書ってそんな見ない(知らないだけかな)ような。アイドルブームも下火とか言われつつも、まだ差別化は進んでんじゃないのとか思います。外野レベルでもベイビーメタルとか生ハムと焼うどんとか…ってネタ路線な感じではありますが、まあ作ってる側は心中するつもりでやってますよね。現実すげえなあ、AKBの指原と老舗モーニング娘。コラボとかさ。ラブライブの新作で京アニとコラボで声優のライブにも豊崎愛生とか起用するみたいな感じじゃないですか。まあ過去にラブライブアイマス組がライブとかあったんですけども。

 

 この現状を振り返るとしみじみします。「Wake up Girls!」ってのはあれは頑張ってたんだな、差別化しようとしてたな(今年新作放映しますが、山本監督ではないんですね)…「ろこどる」とかあったんだよな…過去にめちゃくちゃ書いてすまんな…アイドルアニメはみんな各々で拡大しようとオリジナルたろうと躍起になってた時代でもなくなり、ラブライブのもたらした遺産から逆算して安パイを得るようになっているのでしょうか。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。