17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

『幼女戦記』の女の子の可愛くないデザインの意図

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 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 商業アニメの華はメカもしくはミリタリー&美少女なんですが、ここんところはミリタリー面で露骨な作品はそんな目立っていない印象はあります。「ガルパン」なんかも表向きの企画は女の子&趣味ネタ。でもそこから突き進んで、映像はハードコアな戦車描写をやるみたいにシフトしてましたし。基本、女の子はかわいく描いたりしてますよね。しかしそんな状況の逆ギレのように、なにかハードコアなデザインの作品が出てきました。

 

 『終末のイゼッタ』など、基本的な世界観には第二次大戦時のタイトなミリタリー描写の中に主役級の女の子がさっそうと現れるというデザインの作品が去年は現れましたが、今回の『幼女戦記』はどうも気配がちがいます。こんなタイトルでありながら、女の子が全くかわいくデザインされていないのです。この理由には、架空の世界の軍隊といえどもやっぱりドイツ軍をモチーフにしてることが多分に影響していると思います。

 

 サブカルチャーで使われるミリタリーネタであんまりにも使われすぎてたからわすれてましたけど、世界大戦時のドイツがもっている強硬なムードは、ナチスとの関係だとかも相まって印象深いのです。

 

 本作の主役の女の子のかわいくなさは、あの当時のドイツ軍のからイメージされる強硬的なムードから逆算されているからだとみます。ガルパンとかストパンとか女の子を中心に戦闘機や戦車のミリタリー要素をはめ込んでたんで、あそこには大戦時の生々しい意味はとくにないわけですよ。

 

 でも今作はドイツ軍を主なモチーフにしているから、そのえげつない感じのなかに日本のアニメ・ラノベ的な女の子を描くという形なので、複数の意味で強硬な空気を持ち合わせてしまってます。相当にハードコアな、退廃的なかんじになっているのです。ちょっと原作を調べるとさらにここには異世界ねたってのも含まれるわけだから、本作の持つ強硬な空気というのはドイツ軍、オタクねたというだけではないと思うんですよ。もう少しヤバい感じのところを、もともとのドイツ軍のモチーフを描く美しさゆえに観れる代物になっているといいますか…観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

 

 

 

幼女戦記 1 Deus lo vult<幼女戦記>

幼女戦記 1 Deus lo vult<幼女戦記>