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葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

3DCG原作のアニメ化は表情硬くなるのはなぜ?『スクールガールストライカーズ』

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スクールガールストライカーズ 視聴10分

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 ニコニコで見てたんですが「PSO2か?」てコメントが流れてきて、言いえて妙ですねと思ったんです。というのも、スクストもPSO2もアニメっぽいビジュアルベースの3DCGのキャラクターメインのゲームなのに、アニメ化されたとたん妙に原作ゲームにあった生き生きとした感じやギラついた感じが薄れてるように感じることです。なんでだろうな…と考えるに、それは登場人物の表情のアニメートのせいではないかなと。

 

 乱暴にいってアニメ絵ってみんな同じようなところがあるし、頭をおっきく描いて目を大きく描くっていうキャラ絵の完成形としてはわかりやすいじゃないですか。ハンコみたいな絵とか人によっては揶揄されるくらい、オーソドックスなかたちなんで多くの人がこのアニメ絵っていう完成形までは絵の上手い下手問わず、描くことはできると思います。

 

 しかしアニメ絵でわかりやすくキャラをかいたのに、どことなく無味乾燥な感じがするのはなぜ?どうにも生気がないのはなぜ?みたいな絵は意外にもおおく、たぶん描き手さんのほうでも「あーなんで描いたキャラこんな妙に生気がない感じになるんだろ」とか思ってるケースも少なくない気がします。そのポイントに、絵の中でもアニメの中でも、キャラクターの内面や性格を一発でわからせてくれる表情の演技が淡泊だから、というのがあるかもしれません。

 「スクスト」のアニメでのキャラクターの表情に注目して見ていますと、びっくりするくらい全キャラクターの表情の変化のタイミングやしぐさが一緒。しかもそんなに目の形や眉が変わることも頻繁にはない。なので、メインの女の子たちがみんな同じように微妙に無表情で、どうにもキャラ立ちしていないように映るんです。表情の差で性格の違いとか案外見えるなんですよ。

 

原作の3DCGでの表情のアニメート。淡泊な性格のキャラであっても、表情は細かい

 

 女の子のキャラクターで売っていた原作ゲームが、ストーリーパートで頻繁に眉や瞳を動かして、表情の変化を描いていたのに、おもいっきりストーリーとキャラクターを見せたいはずの手描きアニメがこうまで表情を硬くさせてしまうのは、皮肉と言いますか…あらためて、キャラクターの性格だとか内面みたいなものはキャラクターの表情、しぐさというところから一瞬で察知していたんだなあと思わされましたよ。

 

 そして一番の謎は3DCGでキャラクターが作られているゲームの原作ではどうしてこんなにアニメ化するときに固くなってしまうのか?というケースが頻繁にみられることです。特にスクストは原作がキャラの表情や、アクションのアニメートを中核としているのですから、うまく作るならトリガーの「キルラキル」とまでは言わずとも、ちょっと過剰にするくらいの方向がベストなんだと思うんですけど、真逆のほうに行ってます。

 

 さっき取り上げた「アニメ絵のわかりやすい完成形」の話にもどりますと、みんなそれなりに絵がうまいわけですからキービジュアルまではみんなそれなりに一緒のクオリティのものが挙がってくるんです。でも、表情の演技といったかなり重要な描写に関しては実際に見ないとわかんないですね…(アニメ「スクスト」は最上段に張ってあるキービジュアルを見ても、やっぱ表情硬いか…目の形が変わってないからかも)

 

 アニメの評価で全話を通してストーリーが悪い、キャラの行動が理解できないとかの脚本のだめなところはわかりやすく指摘できるんですが、「なぜだかわからないが妙に淡泊でおもしろくないな」とおもったら、キャラクターの表情に注目してみると吉かもしれません。全キャラクターが眉も、瞳の形もあまり変えず、感情が伝わらないような描写がされてはいないでしょうか。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

 

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