テイルズオブゼスティリア ザ クロス 視聴ちょい
またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。去年のシーズンから「ufotableについてはいっかい書く」とか言いながらずーっと先延ばしにしてましたんで、ようやくです。
難しいアニメのデザインを上手くまとめてると思います。藤島康介といのまたむつみキャラデザインという、画風のデザイン方針も異なる二人のイラストレーターの作風をまとめ上げるって、ほんとはしんどいはずなんですよ。この二人が長年にわたりテイルズのキャラデザインを担当してきたのもあり、そして今回ゼスティリアではある程度ふたりがデザインの方針をあわせているのもある、と考えても、やっぱ画風の異なるイラストレ―タ―をまとめあげるアニメでのデザインってけっこう難色な印象あるんですよ。
これの一番やばいやつはソーシャルゲームのアニメ化ですもん。もうキャラごとにイラストレーターも違うし、おまけにデザインのルールも全員が全員異なっている。しかし、それをアニメ化する際にはばらばらのそれを一本化しなきゃならない。『艦隊これくしょん』のアニメ化のデザインっての、落としどころが難しいですよ。でも「刀剣乱舞」あたりはわりと上手くまとめてた印象があります。
逆を言えばイラストレーターがばらけてる原作なのに、アニメ化したときにどれだけまとまっていて、なおかつ原作の空気感から離れないようにするかっていうのができるだけで、もうそりゃ相当なスタイルが出来上がってると思います。
しかしufotableの今作はなんでか「イラストがそのまま動いているかのような」という錯覚が大きい。これは多分、日本に現存する全スタジオ中でももっとも、ある意味では無機質とも捉えられるくらいに仕上げていることが大きいです。
ufotableのtype-moon作品のアニメ化や、今回テイルズのアニメ化で比類がないのは徹底して前世代の手法のロマンチシズムを消していることです。同時に「ラブライブ」はじめ、キャラクタービジュアルを優先した現在のアニメづくりの最適解であるともいいますか。なんかやっかいないいかたしちゃいましたが、要は映像表現でわかりやすいやすく感動できるような作りを意図して外してると思います。
以前の記事からけっこう書き散らしてますけど、キャラクターデザインでいろんなアクセサリーつけまくってるとか、服に柄が多いとかの情報量の多さと、作画のそのものの伸びやかな良さって両立はしにくいものなんです。でもメディアミックス前提で、何よりコンテンツの顔となるのはキャラクターですよね。AAAからソーシャルまでのゲーム・漫画・アニメとキャラクターをそれぞれ使いまわすゆえに、一枚絵などで一目で判断するキャラクターの情報量って特に多くなっていると思います。
なので、キャラクターの情報量の高さを維持したままのアニメ化というのがおおよそのスタジオがやってることなんだと思われ、手描きの質感を残したまま伸びやかに描くという作画的な良さというのと両立しきれてないというのがほとんどなんです。(その意味で、アイマスの原作ゲームはセルルック3DCGだからアニメでは手描き作画を生かす形で、一方はソシャゲ原作のキャラ描写の情報量維持によったデレマスと考えてるなと思いましたよ)
しかしufotableは作画的な伸びやかさっていう、温かみや手描きならではの部分をすべて抑えてるんです。旧来からのアニメ的で、温かみのある表現(たとえば京アニのデザインやアニメートみたいな)を本作では徹底して封印してると思います。
なのでufotableがアニメ版を制作すると「まるでイラストがうごいているかのようで、無機質」ってのがハマるのは「真・女神転生」シリーズもしくは「ペルソナ」がベストではないかなあとおもうのですが、なかなかそんな良質な原作とスタジオがめぐりあうわけではないのでむずかしいとこですね。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。