17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

「ニンジャスレイヤー フロムアニメイション」トリガーは実は押井守とか富野監督とかユリ熊嵐よりずっと難解なスタジオ説

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ニンジャスレイヤーフロムアニメイション 視聴フル

 

 また一つ現れました。瞬間的に熱しすぐさま忘れ去られるために生まれ、次の瞬間につなげるための礎です。

 

 とんでもねえ奇襲攻撃でしたね。これはトリガーという製作会社の本質を見誤ってたのではないか?と思わせるに十分な内容だったと思います。ちなみに、絶賛の意味で言ってます。

 

 トリガーはかなり厄介で難しいとこ行ってて、こんなんを喜ぶのはぼくのような金に絡みにくい書き散らしのなかのさらにとほほな一部の書き散らしというかんじです。


 80年代サイバーパンクねた&米国から見たふしぎ日本みたいなキッチュの塊を面白おかしくってことで、画面サイズ4:3とか アナログ放送時代のサイズ、そしてOPのスタッフ表示のフォントのデフォル感とか海外アニメの日本語翻訳版みたいなムード有ります。

 

 きっと小難しく、知識やリテラシーが必要とされる監督作品というのは押井守であるとか幾原邦彦であるとかが思い浮かぶことだろうと思います。ですが実際は違っていて、あくまで彼らの難しいとされるだろう面はテキスト。映像やデザインのクオリティで十分食える代物です。

 ですがこれはキッついとこまで踏み込んでいます。今石洋之&トリガー勢はマジにアニメ表現や歴史の文脈から言って日米のリミテッドアニメの技術も歴史も追及した仕事をし続けていて、近年は「デッサンの取れた絵で鮮やかに作画する」みたいなのから離れてます(奇しくもほぼデッサンを狂わせないセルルック3Dの台頭と歩みを合わせるかのようです)。

 

 フルアニメーションを志向する美は3Dなどの台頭でむつかしくなり、なおのこと2Dでアニメーションを作ることで目指す美みたいのを掘り下げていったとして、様々な答えの出し方があると思いますがトリガーは3DCGでは回収できない2Dでのあらゆるリミテッドアニメの歴史や方法を打ち出していると思います。で、そんなん評価されにくい、「絵はいいね」なんて言葉よりさらに残酷な評価されにくい茨道なかんじです。

 

 トリガー設立以前なも「パンティ&ストッキング」でアメリカのリミテッドアニメスタジオとして「パワーパフガールズ」などで有名なハンナ・バーベラ作品の方法を持ち込み、「キルラキル」では意図的な70年代80年代みたいなアニメの省力ぶりを美とし、そこに今回ニンジャスレイヤーでも発揮されるフラッシュアニメの手法も使ったアニメートが加わってます。

 

 現代型の作画技術とデザイン能力があるゆえに、これまでのリミテッドの美や面白味に注力した結果が同スタジオによる「インフェルノコップ」のような極致なのかもわかりません。なんせキャプションに「西暦2012年。飽和し、行き詰まりを見せ始めたアニメーションコンテンツを、再び"アニメ本来のあるべき姿"へと導くため、地獄の刑事がやってくる...」ってありますもん。

 

 

 

 とはいってもテンポも音楽もバッドテイストの部分に関してもニンジャスレイヤーより「インフェルノコップ」の方が質がいいんですが…あれだけ原作はセリフもキレてるのにところところテンポも悪く音楽のチョイスも方針も意外に凡庸。せめて4:3サイズやったんだから意図して80年代前後で低音質のモノラル(※ゴメン もともとモノラル音声だったらしい)とか、BGMが浪曲ダブステップとかやって欲しかったです。

 

 この辺に関して別の問題あります。80年代サイバーパンクリバイバルってビデオゲームの界隈ではすごくいまかっこいいとこもキッチュなとこも消化して上手くやってる作品って数多くあるのを見かけるんですが(「farcry3 blood dragon」とか ニンジャスレイヤーファンなら熱くなれるかもわかりません)、そういうケースと考えると日本商業アニメ界隈に置いてのサイバーパンクキッチュの再デザインのレベルってここまでかあ…ってのはあります。なんだ結局ぼろくそですね。

 
 キッチュの面白味に関してのデザインはトリガーでこれなのであとは推して測るべし。っつうかいまだほとんどのスタジオのデザインは80年代90年代引き摺ってて、それを俯瞰して再デザインする領域も見えない地獄。この嫌がらせ書き散らしでバーッと今シーズンの作品眺めるんですが、ムズいですね。ちょっとニンジャスレイヤーに満足いかなかった方に以下のアニメPVを捧げ、このエントリを終わりにします。川尻義昭監督「電脳都市OEDO808」です。こいつこそ真の80年代サイバーパンクキッチュ日本だよ!

 

 

 観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、とりあえずあいさつはしましょう。

 

 

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 ところであきれ返ったのがどっかで流れてたこちらの記事。 こういうのを読むとフラッシュアニメのリミテッド文脈を読むとかそういう無理解を中途半端な「海外での規制対策では~」と認識しようとするゴミぶりにうんざりさせられます。

 映像表現が何もわからないから売上だとか規制だとかの部分から解釈していこうとする類。ほんとテキスト解釈系統からなんかアナリストまがいまでいろいろキッツいタイプが多い。