17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

「おそ松さん」 こんなもん今年のベストしかないだろ!

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おそ松さん 視聴2回フル

 

 また一つ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ次なる礎になるための楔ってあれ?このくそみたいな前口上なんだっけ?こればっかりは書くたび忘れます。死ね!誰が?見つかった?何が?海が溶け合う太陽が。

 

 「天才バカボン」で漫画の構造とか破壊する表現をぶちこみまくった赤塚不二夫作品ないしはギャグ作品を元にした方がずっと「過去の文脈を今のアートデザインで再構築」とか「日本アニメの文脈を、今のデジタル製作デザイン的に組み直す」みたいな厄介な話を伝えやすいかもしれません。なんていまはいいや!白黒時代から普通にパロディネタやってる部分の作画再現&テンポの良さのままクライマックスまでぶち撒け、現代のハイコンテクストデザインに突入するってのは単純に希少であり、次回から失速するにしても今年必見には違いないでしょう。

 

 冒頭の白黒デザイン再現…さらにバリバリのモノラル音声再現…なんだここまで商業アニメやれてんじゃないですか…なぜニンジャスレイヤーとかああいう過去リミックスの試みをやってる作品が80年代どころのアナログTVの走査線やビデオテープのノイズといった部分を再現というのが出来てないんだ…

 

 その冒頭からの落差でいきなり超作画&ベストタイミングで気持ちよくカットが変わる、アイドルネタを爆発させる。何か言うことが不問にされていた「幕末ロック」とか今だったら「スタミュ」(ひっそり視聴5分)あたりをガチに茶化しにかかるのもいいんですが、なにより高密度のテンポの良さ、しかも作画の良さで近年の日本UHFアニメの表現全部そうまとめにしてるのが凄いです。 

  チビ太新劇の巨人もまじめにWIT STUDIOのあの太い描線で2コマ打ちで壁壊す作画まじめに再現してるのがすごい。3コマ打ち&フラッシュアニメのリミテッドアニメのニンジャスレイヤーネタまでやってたり、同じギャグネタである鷹の爪までも茶化しかかってたらいいんですが。

 

 まずパロディってことでギャグのネタに散々することが、同時に日本商業アニメ特有の表現や文脈をまとめるってことの一番わかりやすいかたちのひとつかもしれません。

 

 散々パロディを高密度の作画で実現した果てに、「結局駄目だ!」と白黒超アナログ世界に戻るおそ松たち。その10年後…ハイクオリティの背景設定による、赤塚キャラを今のアート・デザインによって組み直すという現在の形に突入するのです。そう、中盤のパロディがUHFアニメのクリエイティビティの全てをギャグの形で並列にしたように、高密度アート・デザイン視座で漫画アニメのすべての意味を並列にしてしまう方向に突入して1話が終結します。

 

 この一連のシークエンスはすさまじく、これを「ローリングガールズ」から「ニンジャスレイヤー」がシリアスの形でやれてたらなあとおもうことしきりでした。

 

 それにしても今季は手塚・赤塚揃って代表作がリメイクされているのですがシリアスの側の抜けの悪さってすごいですな。両方ともいきなり女子うけっつーか耽美ネタっつーかなところをネタにしてるんですが、ヤングブラックジャック先生の再デザインなんてべしょべしょ。いまんところ事前に期待した作品はかなりよく、普通に今年のベストクラスの強度です。

 

 「いまのアートデザインによりあらゆるガジェットの意味が並列化」という面白味はあとは「コンクリート・レボルティオ」ですか。秋のモードは最高に近いのですがぼくが喜ぶごとにUHFアニメインダストリーが悪くなる感じかあって愉快です。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

 

 

おそ松さん 十四松 デカキーホルダー

おそ松さん 十四松 デカキーホルダー