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17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

今季のアニメーションの1話だけを観て今のモード(形態の流行)を全て決める最悪のアニメレビュー

これは聴覚障がい者やいじめや恋愛の映画ではないよ。答えは水の中『聲の形』感想

タイトル個別レビュー

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聲の形 監督 山田尚子

 

 知っての通り、10代そこそこの青春がなんの屈折もなく上手くいくことなんて希少ですよ。上手くいった青春ばかりがシネコンでは毎年映画にされるわけなんですけど、大多数の人にとってはそんなのありえないわけですからね。とりわけアニメの書き散らしなんて最悪で暇なことやってる類にいたっては、世間には希少とされる10代という期間の上手くいかなさの代償を膨大な映画や音楽、漫画やらで埋め尽くし、うそくさく上手くいった青春ばかりを描く有名俳優ばかりがでる映画に唾を吐き、一切観なくなるか、挫折や破綻ばかりを暴く呪いに満ちた青春映画に感情移入するようになるのです。

 

 そして挫折や破綻を描く青春映画というのはほんとうに観終わった後とぼとぼ歩きながら家に帰るような体験で、おおむね暗く、露悪的なのです。挫折や破綻を美しく描くことは難しい。だがその可能性がある作品が現れました。それが『聲の形』です。

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女優・杏を美しく映しているアニメーション『百日紅』

タイトル個別レビュー

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百日紅 監督・原恵一

 ちょっと遅れていまごろ『百日紅』の書き散らしです。WOWOWで放映されていたものを観ました。

 

 正直なところ、アニメートやデザインは『カラフル』のような緊張感に欠けているし、冒頭近くの唐突なロック系のBGMなどはチョイスがめちゃくちゃです。(『カラフル』ではうまくつかってたのに!あまりにも静かな内容ゆえに無理にいれたせいなのか。)プロダクションIG特有の製品感といいますか、技術デモ的なアニメデザインの手つきが、原作の杉浦日向子が描く日常と怪奇の手つきと真逆ゆえに映像化によるマジックがさして起きていないのです。「百日紅が咲くね…」と一言呟いて映される花の美術も、鋭さが足りず書き割りの域を出ていません。

 

 にもかかわらず、ある一点が並外れて驚異的で、目が離せないのです。それはまさかの主人公お栄のデザインとその声を演じた女優・モデルの杏の演技です。これよく言われるような「本業女優の演技は棒読み。ちゃんとした声優つかえよ」とか「棒読み過ぎて目が離せない。怖いもの見たさ」みたいな皮肉じゃないですよ。マジな話で「実写映画のカメラが俳優のある一番の瞬間を写し取ってしまう、リアルタイムのきらめき」の美しさのアニメ版なのです。

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これまでの作品と完全に逆転してるじゃねえか!『君の名は。』感想 

タイトル個別レビュー

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 興行収入がすごいことになっていますね。シンゴジラと並べて語る向きも多いですが、ぼくは「メジャーな規模で公開するが、監督作品をみてきたオタクからすると大規模でえらいことになると不安になる」という意味で2作を見てました。そして実際に観て不安を抱いていたこと自体がチンケだったな、と思うに至るとこまで同じでした。これまでの監督作品と完全に構造が逆転しており、しかもそれで面白かったからです。

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ポスト・スタジオジブリと評されるアイルランドの傑作『ソング・オブ・ザ・シー』感想

タイトル個別レビュー

ソング・オブ・ザ・シー 海のうた 制作:カートゥーンサルーン

 

 かつての長編アニメーションが原作に選ぶのは普遍的な神話やおとぎ話であることは少なくはありません。ディズニーはアンデルセンとグリム兄弟の童話を元に数多くのクラシックとなる長編を作り上げましたし、日本のアニメーションでも初期の東映動画は日本神話や中国の民話を元にした長編を作りだしていました。

 

 『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』はそんなクラシックなアニメーションの体験をいまあらためて見せてくれる長編アニメーションです。いまクラシックをあえてやるのはオーソドックス過ぎてしまうとか、堅実だけど古臭くなってしまいがちなのですが(日本アニメーション40周年記念の『シンドバット』みたいに)、本作にそれはありません。伝統的な技術と、現在の技術が上手く手を結んでいます。

 

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青春はうすら暗くそして不気味「orange」

2016年夏のモード(地雷編)

 

orange  視聴少々

 

またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。間が開きましたがよろしくお願いします。

 

さて「orange」ですが、これが薄ら暗い…高校生の少女が主人公でこんなにグレートーンの絵作りでいいのでしょうか?グレートーンに緑の制服って組み合わせ、これどこかの倉庫作業の光景のようなキツさ…ちょっと今季は女の子のさわやかな青春ものにみせかけて、実際の映像が薄らぐらく陰鬱なかんじというのがラブライブ新作とかあまんちゅとかやけに多いんですが…

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「シン・ゴジラ」感想 日本のアニメ監督の撮った実写映画のぶっちぎり最高傑作

 

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シン・ゴジラ 総監督・庵野秀明 監督・特技監督樋口真嗣 准監督・尾上克郎

 

  本作のコピーにはでかでかと「現実対虚構(ニッポン対ゴジラ)」と書かれています。パッと見は格好よさげなコピーで終わるのですが、そうそうたる日本のアニメ監督が撮った実写映画の数々を見てみた自分にとって、真正面からそう書かれたことで「またしてもあのときのように撮るのか、エヴァに苦しんだ後に「ラブ&ポップ」や「式日」を撮ったように」という先入観を抱いたことは確かです。

 

 同じように押井守の実写映画などを観てきたような方ならば、「シン・ゴジラは結局監督本人の作家性の昇華(というか自慰)に終わるだろう。ゴジラブランドがアメリカに食われ、今度は庵野監督のおかずにされる」と考えたと思います。ところが…

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絵柄と欲望の階層「この美術部には問題がある!」

2016年夏のモード(地雷編)

 

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この美術部には問題がある! 視聴8分

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 いやあ…なかなか京アニフォームのデザインってフォロワーはそんなに出てきてないかもなともおもいました。要求される技術の水準けっこうなもんだからかもしれません。

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