17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

『響け!ユーフォニアム2』のめがねの先輩

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響け!ユーフォニアム2 視聴フル

 

 ほぼ毎日20時アップの書き散らしです。またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 京アニの完全ガチである『聲の形』を観た後に改めて『ユーフォニアム2』を観ますと、本当にガチを仕込ませながらプロレスを成立させる手腕に琴線がかかりますね。秋のシーズンの作品と比較すると、ほんとドライに距離をとっているところが際立ちます。基本キャラデザがぎりぎりでエロゲ的な濃い味付けのところに主人公たちのベタさ・感情移入しやすさという、視聴者にわかりやすいウェットなキャラクターは試合を成立させるプロレス的な意匠に対し、特にユーフォニアムのもつドライなタッチ、つまりは京アニのやってるガチの部分に一番近いとこにあるキャラクターがめがねの先輩ではないかな、と前のシーズンからおもっていたのでした。

 

 ガチ(美しく本質を追う演出やデザイン部分。感情移入しにくく視聴者は退屈する)とプロレス(視聴者の慣習(オタク的なネタ)にもそった、味付けが濃くわかりやすく、感情移入しやすい点)を行き来するのが『ユーフォニアム』特有の体験といっていいと思っており、そのバランスが凝縮されているのが一見人当たりがよさそうでいながら、実際にはものすごくシビアでドライであるめがね先輩と思われます。

 

 ここまでエロゲ的な濃い味付けのわかりやすめのキャラデザインであるにかかわらず、ロングショットやミドルショットで俯瞰してうつしてみせるカットも多く、会話でのバストショットの応酬でも意図的に空白部分を作るレイアウトなど目立つわかりやすいキャラデザをやりながら、すこし突き放すドライな演出をするのです。優れた長編の商業アニメはこのガチとプロレス、ウェットな面とドライな面が行き来するのがスムーズなものがそうだと思いますね。

 

 そうしたガチとプロレスを行き来するデザインに合致するのが、昭和新日本プロレス根性のような、人当たりはよくスター性あるが何をしでかすかわからない、下手をするとやられかねないめがね先輩のキャラクターではないですかねとぼくは思うのでした。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

 

完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)

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