17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

全編が不気味の谷CG!ところがタツノコの昭和性にハマる謎の奇跡『Infini-T Force』

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Infini-T Force 視聴フル

 

なんだこれは…あれだけ国内のCGアニメーションがリアル方面でもセルルックアニメ方面でも躍進してると思われたところにこれ。全編、不気味の谷。ところがこれが往年のタツノコヒーローと絡んだ瞬間、なぜなのか絶妙な化学反応が発生しています。

 

タツノコアニメのキャラはここのところ『ガッチャマンクラウズ』『夜のヤッターマン』とか、現代版にアップデートしようといろいろやってますよね。実写でもマーベルやDCみたいになろうといろいろやってますよね。でもやっぱりはっきりと認めるべきですね。タツノコはダサい!それでいい!

タツノコってすごい日本的な、どっかしら往年の70年代の濃い、汗臭い感覚がずーっと残ってるところなのに、よく考えたら巨人の星とかガラスの仮面を茶化すみたいに外野がネタにそんなにしないよな~とか思ってましたよ。ぼくも破裏拳ポリマーとかガッチャマンとか、もうネーミングセンスからしてほんとはウッときてますから。

そんなタツノコのここ5、6年で推し進めていたおしゃれ現代化に対する揺り戻しがおそらく『Infini-T Force』です。もうね、何年も積み重ねている「おしゃれなタツノコ」「現代的なアメコミ的なやり方もできるかっこいいタツノコ」が完膚なきまでに崩壊していくマゾな快感がありますよ。

ほんとすごいですよ。もう親しみやすいCGキャラクターにはアニメ的な記号化をアニメートもモデリングもシェーディングも徹底するか、それとも徹底したリアルにするかのどっちかしかないのがはっきりしてる時代にアニメ寄りでもリアル寄りでもどっちつかずのモデリング&アニメート、いわゆる親しみが持ちづらい不気味の谷にカウントされるやつです。もう10年以上前くらいすごく古臭く視えてしまうものなんですよ。

ところがそんなCGの古臭さが、タツノコの本当の姿を呼び覚まします。なにがフラットデザインとSNSを意識したアニメデザインだ。なにが萌え化したドロンジョさまだ。なにが松坂桃李ガッチャマンだ。このクドいキャラクターデザイン!このダサさこそが昭和の本当の姿だよ!普段の姿もパンツのロールアップも異常に長くやってるとか最高だよ!アベンジャーズを目指したように見えて、結果的に封印されていたタツノコ昭和の匂いが解禁されたんですよ。

そしてこれが、ネタでもありつつ面白いに着地してるのが奇跡ですよ。CGの古臭さ、タツノコヒーローズの元来のクドさが混ざり合い、意外に進行している商業アニメ界全体の萌え指向・おしゃれ指向・現代的指向のしゃらくささをぶち破ります。『URAHARA』の真逆にある作品ですね。観たアニメは忘れましょう。それから培った技術とモードも投げ捨てて、次回にお会いしましょう。

 

Infini-T Force1 未来の描線(ヒーローズコミックス)

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