17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

ガッチャマンクラウズインサイト #08 くうさまのトリコロールカラー

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 鈴木rhythm収監後の#05以降は状況や日常が徐々に変貌していく様が主体になっている。 登場人物ひとりひとりの物語を追うものじゃないからかなりダルいのは否定できないのだが、たたでさえフラットなタッチの立川の都市風景にばら撒かれるトリコロールカラーのくうさまという映像のどうしようもない気色悪さのほうに、本作にしかないアニメートが凝縮されているのは確かだ。

 

 ガッチャマンクラウズは主人公サイドが状況によって無力にさせられる様が脚本上でもアニメート上でも現れていて哀しい。いつも彼らは真正面から戦えない。ほとんど最後まで手は出せない…ガッチャマンの3Dモデリングのデザインはキャラクターと風景から浮いてしまうし、アクションのアニメートやレイアウトはとても鈍く躍動できるものじゃない。今回はどう考えてもヤバいくうさまの氾濫に対して世論を気にしてどうすることもできない。ウォッチメンにおける核の代替とすらなった無敵のヒーローであるはずのDRマンハッタンが世論によって世界から追いやられる、みたいな封じられ方を思い出した。

 

 前作から状況が主体なのはそうか…クラウズが跋扈する立川市の風景、SNSで善意で動かす人々というそれを引き継いだ形が今回人々の気分を記号化した吹き出し&くうさまのシニカルで気色の悪い光景だろう。本作見ていて異常なカットを感じるのは意外に日常の風景のカットだ…今時のクオリティの高いUHFアニメはモブと風景にも手を抜かず、一人一人がそこに息づいていくのを丁寧に描くのは京アニもA-1もやってることだ。だがそこで突発的な暴力であるとか破綻であるとかの描写はなかなか出ない中、そのフラットな画面作りも相まって異常な気配を立ち上げている。

 

 関係ないが直近にGAME・SCOPE・SIZEの方のエントリ書き散らしていたので文体がメローになっている。いかんですね。観たアニメは忘れましょう。だが培った技術とモードはそのままに、クシシュトフ・キェシェロフスキを眺めましょう。

 

 

 

 

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