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コンテンポラリー(現代派)の京アニ(FREE!2期)はポルノで安全運転・コンサバティブ(保守派)のA-1ピクチャーズ(SAO2・ペルソナ4ゴールデン・黒執事など)は膨大に作品を生みながらも相変わらず客層の予想の範疇を超えないが、おのおののアニメ原作の客層に合わせた再現や表現のクオリティは高く、マッドハウス(ハナヤマタ)はけいおんあたりの2009年2010年トレンドもう一度を表層から取ってる感じ・うまいのに古臭さで損するPMワークス(グラスリップ)・湯浅中村監督的なアヴァンギャルド(革新派)不在・ミニマリズム(最小限主義)大量生産のシャフトも不在・そして謎の90年代初頭2000年代初頭のタイムリープを錯覚させる作品の数々・・・おまけに「ろこどる」が意味不明な注目を受け声優統計がどうのと要は声優さんをオナペットにすることをがんばる不思議な方に絡まれるという・・・最悪だ、春は面白かったんだな・・・
夏のモード一覧を眺めるといつになく叩いてばっかだな…褒めてんのが「幕末Rock」かよ!このブログの馬鹿スタンスもあるけど、春はそんなことなかったはずですよ…ということでその中でも特に印象深かったものを。
ノイタミナ枠はそれにしてもオーソドックスなジャンルアニメから外れるものが出やすいが、「残響のテロル」はジャンルアニメネタでもよかった
「残響のテロル」見てるとジャンルアニメから離れてる感じがあります。アニメ見てる皆さんには今さらで申し訳ないですが、フジテレビ・ノイタミナ枠はもともとの客層が一般の成人女性層らしいですが、確かにその層の好む原作の映像化は多いです。それゆえなのか日本の深夜アニメカルチャーの中である種デザイン的な、萌えやらロボやらなんやらの一定客が存在してるジャンルアニメから外れた位置で、湯浅中村的アヴァンギャルドも許容してきた枠でもあります。
本作は新海誠・京アニが主に突き詰めているであろう、現在の日本アニメの最も美的な日常情景の画面、映像を抱えているには違いなく、今期中屈指です。日常情景フォームによる、青春の光と影の小さな永遠。
究極的に最終的なテーマやポイント突き詰めてジャンルアニメから解き放たれると、少年少女のささやかな青春と内面の永遠を表す映像になると半年くらいざっと眺めてて思いましたよ。そこんとこが日本アニメというメディアの中で今は特に美的なところといいますか・・・水面下で新海誠や京アニがやるような、作画と雰囲気だけで逃げる気取り腐った日常情景全部くたばれ!と思ってるサイドはあるのかな?トリガーあたりは思っていそうです。
しかし「残響の~」はもう少しジャンルアニメ的でもよかったんじゃないの、という気もしなくはありません。ジャンルアニメ、ならびに他の映画やマンガ小説メディアでもジャンルを超越することにこそ作家性やアート性が発揮されると言えるのですが、逆に度が過ぎるととっかかりが無くなって没入しにくくなる。ジャンルアニメ、ジャンル映画などなどはB級などと言われ、A級になりたがる人々に茶化されたり否定されたりしてむつかしいです。ぼくですね。とはいえジャンルはフックとしてとにかく有効であるのも否定しようはありません。
これを上手くジャンルアニメにするなら、そうだなそれこそロボットネタとかどうでしょう。現代戦争ネタでテロネタってのはまだ賞味期限は・・・ん?ちょ、ちょっとまって美的な日常情景・・・都市・・・テロ・・・そこにロボときたら・・・あっ、「パトレイバー2」。90年代初頭のタイムリープの残滓が、まだぼくに残っているのでした・・・
それにしても脚本芸術の側面を丸捨てしてるこのブログですが、「残響」のオイディプスネタはモデルとしただろう村上龍「愛と幻想のファシズム」をより想起させたり、「ユナ・ボマー*1や沢田研二*2みたいに」なんてセリフが飛び出すなど知ってるファンを引っかけ、で空気感のある方向に引っかかるような作りになっています。
でもその代わり脚本がマヌケめいてしまうところでトホホになるのも否定しがたく、そんな日本の文学や映画を知っているなんてことで「ここは渡辺監督あれですよね」なんて趣味人の引用に引っかかってはいけません。「警察がバカすぎ」はじめ日常情景や衒学で逃げようとしているのを追い詰めるのは間違いではないでしょう。
ほんとね、あれは太陽を盗んだ男だいやいやコインロッカー・ベイビーズだ、違うザ・ワールド・イズ・マインだなんて引っかかって対応してはいけませんよ。あっ、とかいって当のぼくがそういうフックにかかってここまでの文章を…ぼくは…ぼくは…
関連・残響のテロル 伝説のマンガ「ザ・ワールド・イズ・マイン」のパクリですね
ユナボマー 爆弾魔の狂気―FBI史上最長十八年間、全米を恐怖に陥れた男
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それにしても最近のロボットネタ、タイトルを言われてすぐに顔役となるロボットのフォルムが思い浮かばない
ロボネタをクソだと叩き、日常情景を至上とする当ブログゆえの最悪のバイアスがかかっているゆえかもしれませんが、最近のロボネタのタイトルを耳にしてもパッと顔役となるメインの機体が思い浮かばない。印象に残らない、というのが頻発しています。これは偏見まみれのぼくだけかもしれません。でもエヴァっつわれればすぐパッと初号機の姿は思い浮かびますよね。
とはいえアルドノア・ゼロはあれはまだメインの機体を顔役にしようとしてる感があります。それは脚本的に最近あるような日常情景逃げ、敵は精神の暗部のメタファーみたいなキャラとかでないし武装も主人公機だけ特殊なものというわけでなく、ロジカルに戦術立てて撃破、という状況にシフトしてるゆえでしょうか?実はボトムズ的な…あっ、あれだけ「映像構成・デザインだけで観る」といいながら脚本芸術部分にちょっと言及しちまった!ぼくは…ぼくは…
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アルジェヴォルン1話&アルドノア2話 ロボット架空戦記がアイドルネタや日常ネタに完敗する単純な理由
というわけで夏のシーズン終了!明らかに春よりも味わいない感想になりました…秋は少しは面白くなってくれるでしょうか?観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、来季でお会いしましょう。