17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

ブラック・ブレットの二番煎じでの世界観作り/2014年春のモード

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ブラック・ブレット 視聴13分

製作・キネマシトラス&オレンジ

 

 さあ2014年春のモード一発目です!今期のガキたちのセックスと殺しのトレンドは一体なんなのでしょうか?ということでまずはライトノベル原作発・男女平等・SF中二病路線の本作です。

 

 

 男女平等の世界観やる場合って本当にキャラ以外の世界観の構築を行っていないと、本当に得も言われぬ地獄のような中学生の全能感によるトホホまみれとなってしまいます。男の子だけでスポーツやらせる・女の子だけにアイドルやらせるって絞り切ることでキャラそのものの萌えやらなんやらのポルノに絞れるため、今んとこラノベやらの原作からアニメオリジナルタイトルなんかでトレンドを引っ張るのはそっちが優勢です。では男女平等の世界の場合でトレンドの最前線に突っ込むなら?というのは「進撃の巨人」などの少年漫画原作みたいな形が優勢となっています。ラノベ土壌というのはすんごいポルノが優勢で、世界観やシナリオ優先したい場合でさえ、男の子か女の子かのデザインに注力してるわけですよね。

 

 ラノベ土壌・ブラックブレットはパッと見かなり頑張ってます。男の子はスーツ風味制服に拳銃デザインで女の子はセーラー服と日本刀という、近年の必勝パターンの組み合わせ。これは「ペルソナ3&4」から「BLOOD」などなどですでに安全が確定しているデザインに乗っかっています。

 それで少なくなくニコニコのコメントなんかでも出てるように何か日常を破壊する「クリーチャーの襲来があり、それから守るためにモノリスみたいなものを建てた」という「進撃の巨人」感や、その中で大人が見守る形でクリーチャーと闘える特殊能力を持つ少年少女という、まあ「エヴァ」の構図といいますか、とりあえず男女平等の中でバカバカしくならないような世界観の造りも、かなり既存の作品が切り開いたものに乗っかっています。

 とりあえず全体的なデザインのマヌケ感というのはこのようにかなりの部分抑えられており、むしろムード自体は良く見えます。後は、この膨大な二番煎じを越えて、作り上げた世界観や、襲い掛かるクリーチャーがどのようなメタファーを秘めているのか?ということの深みで本作の決定的な評価が変貌していくと見ます。

 

 「進撃」での巨人が「壁」を破壊して、人類がそれと闘い調査するというその世界観のほとんどがその実、発達心理学的なそれとしてあまりにシンプルであるし、「エヴァ」なんかもそのメタファーは今もって異常なレベルであり、「使徒」という名称ながらまったく規定できない実体のない相手や、エヴァというのが実は主人公たちの母親の意識、そして作品世界すら突き抜けて、アニメという表現構造の突破から監督個人の意識にまで繋がるなど掘り下げていくにつれ単なる世界観すら超えていきました。

 

 さて男女平等・世界観も上々なブラックブレットには、回を追うごとにその世界観が秘めるメタファーの深みが嫌でも問われていきますし、そこんところのセンスのある無しで大きく変動するとみています。でもクリーチャーデザインだとか、描写観る限りヤバそうですね・・・キャラのポルノに頼らず男女平等のキャラ配置でトレンドの最先端に行くというのはかくも難しいご時世であると思ってしまいました。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。