前回のセックスのモードを観るというだけでもなかなか有意義でした。ラノベアニメゲームサイクルの渦中にあったはずの、本当にエロの方面に隔離されてるはずの18禁界隈が暗に衰退しているのではと想像され、その根拠になるのが18禁ゲーム界隈の衰退の話ではあるんですが、その相関関係をエロゲーのデザインはやや古臭く深夜アニメ界隈のほうが今やデザインも最前線のモードのまま、エロはソフトなものから前戯までこなすような描写やっている現実から感覚的に理解できそうでした。
立ち上げ間もない当ブログですが、早くもはてなブックマークにてコメントを頂いており、まことにありがとうございます。恐縮ながらこちらは”18禁界隈はなんにせよ衰退しているのでは仮説”を感じていますが実際のところどうなのだろう?と疑問があるため、もしできればそのあたりのコメントを次は頂ければありがたいです。
さて今回はもう半分、ガキに戦いやら冒険やらをやらせるということをすごく大雑把に括って”戦争”のモードレビューになります。ところどころ違うかも知れない作品も入りますが、ややご容赦を・・・
ノブナガン 三ノ銃『キャパの島』視聴15分
製作:ブリッジ
ざっと眺めていてコミックアーススター連載作品からのアニメ化作品が目につきます。ひとつのサイクルを描いているようですが、モードの前線が日常もので切った張ったしており技術的にもかなり力が入っている一方では原作含めやや旧モードを感じます。
では何らかの武器やロボを使うバトルものは一体どうしてるのか?というと、これがまた意図的にややダサい80年代90年代入り始めデザインになっています。とはいえ、それが意識的に80年代のリバイバルを今の技術とセンスで古くて新しく見せる、ダサかったものをカッコいいものとして見せる全体のデザインと演出力から変わるんだと思われ、OPこそリンキンパーク的なミクスチャー全開のテーマ曲と映像がそれを上手くやっているかに見えましたが、本編の演出に至っては技術的に、演出的にはそうした視座にはありません。
京都アニメーションが現行のアニメ技術を徹底化、シャフト(新房監督)が市川崑などカットごとにバラバラのミクスチャー演出で、アニメの根本の設定やデザインのを一歩上の距離から描くケースを見かける中、なかなか少年少女の戦争を描くことでそうした一歩上のレイヤーでの演出でモード前線まで躍り込むことは難しいのでしょうか?それともそんなレイヤーにしたら気取りすぎて乗れなくなるでしょうか?戦争は多大な意味を含むのです。
ノブナガ・ザ・フール 第2話「恋人」 視聴14分
製作:SATELIGHT
もうひとりのノブナガ、「マクロス」の河森正治原作・構成作品です。もうこれぞ戦国時代の武将の名前などをキャラクターにつけるとところからデザインに至るまで20年よりちょっと前のダサさ、それをかっこよく見せる路線です。
なにやらAKBのアニメ化から本作の流れを観ると、AKB自体が秋元康の80年代おニャン子倶楽部再びみたいなもんでそれと、80年代マクロスで有名だった河森監督が手を組んだあたりから、さあ今80年代クリエイティビティを行うのか?という風に見えます。ふと河森監督のウィキを眺めたら、80年代的と言われたマクロス以降、その実80年代いっぱいは作品を作れない時期が続いていたと言います。
80年代的な作品を生みながら実際の80年代のキャリアは空白だったという奇妙な経歴ゆえか、製作のサテライト作品も込みでこの現代に90年代も2000年代も最初からなかったんだ、と言わんばかりの80年代クリエイティビティを突き通しているかに見えます。本作は本当に京アニシャフトなどなどのような技術的な意味か、デザイン的な意味かで一歩上のレイヤーから振り返ってアニメを捉えていることがほぼ無いです。それゆえサテライト&河森監督作品は現行モード最前線には絶対行かないけど常にどこかレトロさを抱えた安打感がある気がします。
話変わりますが、いまや大量製作に伴い主人公の人間キャラクター以外の無生物、無機物は3DCGによって描かれるようになり、場合によってはキャラのダンスなどで人間キャラも3D化。描画フレームもセルアニメに合わせる形で、2D3D間の空気感を保つという手法を本作のメカニックはじめ「ガッチャマンクラウズ」の変身後、それどころか90年代モードのトップだった「エヴァ」も新劇場版では当然のように使用などなど、作業コスト省略化の意味か、はたまたコスト省略が新表現になるのかの研究がオンタイムで放映しながら研鑽している最中なのかはともかく、いまロボなりヒーローなり描く作品(そしてアイドルものはダンスのために)は当然のように使っています。
コスト省略に伴いモブも3Dモデルにするのはディズニー「ノートルダムの鐘」の時点で目立つことですが、コスト省略を気づかないレベルまでデザインするのはまだまだ先のようです。「おおかみこどもの雨と雪」の序盤モブのCGとバレてる観と「風立ちぬ」が群衆だろうと手を抜かず描いている差にそのまま世界観の根本的な差さえ感ずるのですがどうでしょう?戦争はあらたな技術を生む場でもあるのです。
Z/X IGNITION PHASE2 視聴6分
あんまり日本でのカードゲームの流れはわかってませんが、凄い雑にマジックアンドギャザリングに影響を受けた遊戯王のヒット、そしてその他の多くの派生などが元になってるのかは不明ながら、カードゲームの世界観のアニメのキャラデザインはじめトータルのデザインの日本のバブルはじける前くらいの時代くらいくっきりした古さになるのかと色々考えました。
バトルから冒険メインにしたもんやろうとするとこればっかりはノブナガの銃のほうも大うつけの方も95年以前のようなデザインになることが多々な気がしますがどうでしょう?記事をここまで書きながら”実は戦闘をテーマとすることそれ自体がモードの前線から一歩遅れたテーマなのでは?”という仮説をふと…いやいや、「進撃の巨人」(未見)も「タイガー&バニー」(未見)もあるじゃないか!気のせいでしょう。この後には「キルラキル」レビューも控えています。戦争は多大なバクチでもあるのです。
弱虫ペダル RIDE.14「朝霧の再会」視聴7分
ダイヤのA 第14話「合宿スタート!」視聴7分
ラノベアニメゲームサイクルによるセックスと戦争を知ったガキのモードが一大勢力になっている目には、オーソドックスな少年マガジン&少年チャンピオン人気作品のアニメ化のデザインはまだ泥臭さが・・・とか書こうと思いましたが、最近の少年漫画雑誌をざっと眺めるにものすごく絵がつまらないと感じることが多々あり、それは「少年漫画でとりあえず商品として出せる絵」が半端なアニメ絵的な、いや「少年マガジン顔」と言えば感覚的にわかると思いますがそういうのが多数を占めており、アニメ化された際の他アニメのモードと比べての泥臭さとダサさに伴う中途半端な感じを受けます。
なんというか成人男性の平均顔を割り出すというのがありますが、そんな感じで今の4大少年誌の作家の絵柄を平均値にすると大体ダイヤのAのこんな感じになるのではないでしょうか。
漫画の多様さと広さに対して、アニメは極めて狭く、それゆえに最初っから今現在最善とされる絵柄のポイントがあり日々最善のデザインの研鑽を行う故に、漫画界と比較してもモードの強さは特筆していると見えます。
ですが少年漫画のアニメ化という際には原作のムード再現のため、最前線が行っているような絵柄のデザイン研鑽部分のやり合いが無化されたそのまま実現しているかのようです。なので漫画原作の場合、原作自体がもっともっと現行アニメのモードからずっと離れたものがアニメ化した作品の方が心躍ります。なんだかんだで「ワンピース」は少年漫画の中で、ジャンプでずっとおもしろい絵です。「進撃の巨人」もずっと自身を表現できている絵です。彼らに対して絵が下手は実は何もわかっていない類と言えるでしょう。
とはいえ、弱虫ペダルのほうは原作でも異様さは際立ってるわけで、やはりでの自転車走行シーンの絵作りは良かったです。戦争を一時取りやめスポーツを行ったのが古代オリンピックともいいます。
TVアニメ「pupa」(ピューパ) 第2話 視聴フル
雑に「視聴5分」とか最悪な見方をしているのですが、大変失礼ながら放映時間本当にこの時間なのでしょうか?驚いてプロモのための小出しなのか?と調べてしまいました。
それにしても男女を配置させて愛や恋やら欲情やらの表現の定型として兄妹関係がネタになるというのは昔のモードで狂ったように存在していましたが、今それやるのは古い感ある気もします。主人公二人の造形など片っぽが完全にけいおんしか想像しないデザインというのは後塵を喫している感じはあります。
なにか昔の18禁界隈をやっぱり思い出しつつ、というか虚渕脚本のようなネタであり、実際作り手も意識しているのか人物のカラーリングから、異様にうねらせたムードの背景美術など耽美さ痛々しさとその裏側のグロテスクで行ってます。悲恋とトラウマムード交じりは90年代ダークネス分のモードと2000年代の恋愛対象が全員妹みたいな欲情がゲシュタルト崩壊モード分二つを併せ持っているなと思ってたらエンディングテーマになってしまいました。
しかしざっとしか観ない当ブログながらよくわからない売り方ではあります。ガキのサイコロジカルな方向に向かい、苦しみを主軸に残酷な描写飛び交う90年代後期モードは個人的にすごく弱いんですが、こればっかりはあんま個人的には分かってないですがアニメファンの皆様方としては90年代後期ー2000年代初頭ごろリバイバルはトホホでしょうか?いやそれ以前に単純に「延期してなんだこれ」が正解でしょうか。戦争が内面の問題を大きく取り扱う時代にある時よりなりました。
「スペース☆ダンディ」 第1話&第2話 視聴フル
製作:BONES
ここまでに現代の技術と視点により過去のエッセンスを現代で新たにダサいをかっこよく、古いを新しいに変える80年代ー90年代初頭モードをリバイバルすると思いきや、ガチで80年代ー90年代初頭ぐらいまでの手法や視点を引きずっているままの作りを両ノブナガからZ/Xまで感じましたが、それが上手くできるのはやはり「カウボーイビバップ」を作り上げた多趣味人ぶりがうかがえる渡辺信一郎監督ということになるんでしょう。
過去も大きくジャズをBGMに導入したり、「サムライチャンプルー」ではNujabesを起用したヒップホップトラックをフィーチャーしてきた音楽趣味の良さを見せるかのように主題歌が岡林信康、やくしまるえつこと秋葉原か中野しかない東京といえる現行アニメシーンのなかでまだ渋谷くらいまでは視野に入っている感じはあります。
パッと見60年代70年代にあったようなでたらめに異種の宇宙人が集まり、何とも言えないあの宇宙スーツデザインなどアメリカのSF映画やドラマ風味のガジェットで構成されていて、内容もツイッターやラーメン二郎と完全に新技術の披露や、監督の内面や、ヒットへの打算以上に自身の多趣味を元に構成されています。大橋巨泉ですね。
しかしこの多趣味ガジェットであれど、モードの最前線まで潜り込めるか?というと、実際の画面構成や全体の流れの旧来さ(ストーリーじゃなくコンテ全体の演出の流れ)を観るにローコスト感、それに伴うリバイバル云々じゃない技術と構成の古さがそこかしこに漂うため、前線から2歩後退した位置までは行けても最前にはいけない完成度です。
基本的に60年代70年代(適当でごめん)リバイバルの世界観に今の趣味や流行りを入れてるんですが、露骨にわざと古い雰囲気を画面に作るとか(なにか昔のアニメのフィルムに合ったような掠れ、汚れを意図して再現するとか、サイケデリックの色彩やCGパターンを当時のものくらい徹底するとか)のデザインを徹底させることで一段上のレイヤーに立って過去をリバイバルしてる感を出していないため、意外に旧来からの進行方法や手法で味わいのない作品に映ります。わざとダサいのか?本当にダサいのか?で判断が揺れます。監督の意図通り?いやもっと上に行けたでしょう。戦争は宇宙でフォースと共にあります。すみません。なんでもありません。
キルラキル 第十四話「急げ風のように」視聴フル
製作:トリガー
ここまでバトル冒険戦争ものをやる際のモードが”過去のエッセンスのリバイバルじゃなくて、ガチでやって80-90年代の手法のまま。3DCGやPCによる絵作りはいかに作業コストを抑えるか程度”のクリエイティビテイ多々で期待の「スペース☆ダンディ」も意外にヤバい中、もっとも誠実にかなり上手く現代の技術で過去リバイバルというのを技術とセンスをベースに一段上のレイヤーに立つことからダサいをカッコいいに、古いを新しいに見せることを最も上手くやっています。
劇団新☆感☆線の脚本家である中島かずき氏&旧ガイナックス~現トリガーの今石洋之監督による「グレンラガン」の時点で今の技術で過去の歴史30年をリバイバルするという凄まじい仕事をやっており、2クールを60年代から当時の2000年代までのガキの戦争のモード変換の年代記にしてしまっている点は他の追従を許さないでしょう。
今作は70年代ー80年代日本アニメ・ドラマ・歌謡を今のモードに合わせてリバイバルするのを基調に、単純に全体の流れのテンポの良さから脚本声優作画から独特のタイポグラフィに至るまでのチームワークによる気持ちよさは本記事に挙げた作品中随一です。
リバイバルはちょっとウィキなんて見てみれば実際のアニメ構築の手法からして「意識的にセルアニメ全盛時代を意識した作り」で「リミテッドアニメを意識した手法でキャラのたたずまいとか芝居をちゃんと描きたい」「昔のアニメーターさんの芝居の作り方をなんとか表現」というレベルにまで及んでいるようです。
もともと庵野秀明もいたころのガイナックス自体、エヴァさえ含めて過去リバイバルから当時の人気作品からのモード引用を高い技術力によって為し続けているところなので、今石監督&中島かずき氏は古き良きガイナックス時代のDJセンスを今でも遺憾なく発揮していると見えます。
特に脚本・中島かずき氏は脚本家でありながら漫画編集者でもあり、石川賢の担当を行っていたという経歴も込みで、遡るにガキのセックスと戦争のモードの歴史の古くにある永井豪~石川賢ラインからガイナックスが過去リバイバル&引用(「エヴァ」も当時永井豪の「デビルマン」の言及が多かったです)しまくり、そして「キルラキル」の現在に至るまで綺麗にアッパーな日本のセックスと戦争のモードの正史に近い仕事を為しており、大変優れています。戦争は歴史の積み重なりなのです。
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さて今回はガキの戦争のモードでしたが、一様に手法やデザインが前回の日常系と比較しても一歩古いままの作品が多いです。日常と女の子が結局モードの前線に立ちはだかり、男の闘いは80年代から90年代初頭までに出来上がってることの繰り返し。極論です。
ふとヒットした「タイガー&バニー」とかちらっとyoutubeなどで挙がってる予告編集など見ましたが、普通に2D・3Dの融合バランスの良さとか、実際の企業にスポンサードされて闘うヒーロー(実際にスポンサード無いとそもそものヒーロー~ロボットアニメさえ作り難い環境という悲哀や現実と呼応・違ってたらごめん)とか様々な範囲で上手いデザインで、やや上にレイヤーに立っている作り方をしておりさすがこの時代にヒーロー・ロボット系統でモード最前線まで躍り出ただけあるなと思いました。やはりブログはじめた時期は最悪だったかもしれません。今後もガキの戦争は80-90年代初頭のままのクリエイティビテイのものが続々出てくるのでしょうか?
それにしてもこんな最悪の観方していてもまだ今季のもの見通し切れません。全て追ってるファンというのはどんな感じでしょうか?なんにせよ次回は山本寛監督作品中心に「日本アニメのモードに反発や嫌悪によって生まれる作家監督とは・・・」ネタです。観たアニメは忘れましょう。だけど培った技術とモードはそのままに、来季でお会いしましょう。