17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

「灰と幻想のグリムガル」感想 淡い映像で織りなす弱者のえぐみ

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灰と幻想のグリムガル 視聴 8分と7分

 

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 パステルな木漏れ日の森の中、という美術にデジタル処理で溶け合うキャラクターの映像が目を引きます。既存のライトノベルのイラストレーションはエロゲー界に次いでデザインが厳しいものがあるんですが、原作のデザインこそそこまでではなくともアニメ化の際に題材を引き出すデザインが為される頻度は高いと思います。

 

 

 昔からガキが異世界に…というネタは数限りないんですが、あれは基本行きて帰りし物語の構造を持っています。でもそこで異世界と現実を行き来しているってのもまた多いんですが、最近は異世界に移動するのに実はネットゲームですよMMOですよってことで、より現実と地続きみたいな描き方になっていると見ます。

 

 で、MMOネタの異世界ネタにはふつうに現実と地続きみたいな学生であるとか会社員であるとかどうしょうもない廃人であるとかみたいな登場人物描写がわりと為されたと思います。

 

 本作はそういうMMOネタ以降で登場人物が現実と地続きみたいな効果がデカい気がします。小さなエゴやらなにやらにまみれた一般人のパーソナルに近いキャラクター描写によって、どうしょうもない無能さ、エゴ、ささやかな人間関係のあたりにクローズアップされていることが印象深いのでは。

 

 

 原作イラストレーションがウェルメイドなデザインである一方、アニメの本作は手数を抑えたキャラクターデザインに水彩画調のパステルなデザインを基調にしたことで、弱者たちゆえに起きるエグみが際立つ形になっています。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。