17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

『推しが武道館に行ってくれたら死ぬ』とファンダムの良さ

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推しが武道館に行ってくれたら死ぬ(以下『推し武道』)視聴19分

実はガキのモードをスタートして「現在連載中の漫画で、新刊が出たら必ず買っている作品がアニメ化した。それを書き散らす」というのは今回が初めてなんです。『推し武道』、全巻買ってるんですよ……

 “高い画力で、飄々とした”原作をアニメ化するのは難しすぎる

昔からあんまり切れのよくないアニメ化には「原作を映像で説明する以上のものがない」と書いており、『推し武道』も例外なかった。そういってしまうとそのまま終わりなのですが、原作を全部持っていますし、もう少し書きます。

平尾アウリさんの漫画って、ある側面では佐々木倫子にも近い、端正な絵柄かつ、現場の空気や知識を体感したうえで、ローテンションのギャグをやる、というスタイルなんですよね。

緻密なリサーチ、高い画力を元にした飄々としたギャグを持つ漫画って、考えてみればうまくアニメ化されたケースが思い当たりません。佐々木倫子の『動物のお医者さん』も『おたんこナース』もアニメ化はされておらず、実写ドラマ化することで “飄々とした”原作に対応しているのだと思います。

いや、ひとつアニメ化に成功していた作品がありました。画力は高くはないんですけど、『とんかつDJアゲ太郎』ってそういうラインだったのではないか、といま思いました。

アニメ化って、絵も演技も情報量が過多になりやすく、飄々としたデザインを作るのは本当に難しいです。味気ないものになってしまうので。淡々としながらギャグに熱を入れるなんてかなりのスタジオじゃないとできません。本当は『推し武道』も実写化がよかったのではないか、と思わなくもないです。

ファンダム漫画のよさ

おまけで漫画版を元にした短い批評です。最近はファンダムの漫画っていくつか出ていますよね。あるジャンルのファンを主人公として描いた作品です。たとえば特撮にハマる女性たちを描いた『トクサツガガガ』など、ドラマ化もして話題になりました。

『推し武道』もそのひとつで、アイドルというよりファンダムを描いているほうが重要なタイトルではないでしょうか。あるジャンルを好きと言う一点で、年齢も性別も関係なくコミュニケーションをとれるファンダムのすごくいい点を描いているな、と思います。

かつて山本英夫さんの漫画『新・のぞき屋』にて、清楚なアイドルは日常で態度も素行も悪く、ファンがストーカー化したりするみたいな露悪にまみれた視座の漫画が世界の真実を突いているのだよといった表情で、表を歩いていたのも昔の話になりました。

ん?そういえば『闇金ウシジマくん』の真鍋昌平さんもアイドルのファンダム漫画を書いてましたね。あっ、これ暗黒面そのままだ……。なんだこれは!アイドルに裏があるとかそんなもんだろと思うけどファンダムの人たちがこんな汚い精神のわけがない!ぼくは『推し武道』のくまささん(典型的なオタク像の30代男性)や基さん(アイドルに本当に恋する20代学生)を信じるぞ!観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

推しが武道館いってくれたら死ぬ(1) (RYU COMICS)

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