17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

オタクのライフスタイル系アニメの現在

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僕は友達が少ない 1話~3話視聴&実写映画版フル

そういえばオタクのライフスタイルを綺麗に書いてる系アニメって最近はどうだっけ?Netflixでふと「僕は友達が少ない」のアニメ版&実写映画版をみながら思ったのでした。

 

オタクのライフスタイル系アニメって何ですかって話ですけど、まあアニメマンガネットコスプレ趣味全般を日常生活のなかでいい感じに描いてるものってことですね。作中のキャラのライフスタイルにふつうに組み込まれてる感じってことです。

ファッションなんかでももう特定のブランドによる服で個性をってのがあんまり時代に沿わなくなって、ライフスタイルによるおしゃれとかクールさを売るという方針がありますが、他メディアでもそのキャラクターのライフスタイルというのをうまく描きこんでるというのはありますよね。

 

 去年も伏見つかさ原作の「エロマンガ先生」取り扱ったときにちらっと書いたんですが、実写映画など他のメディアでオタク趣味のライフスタイルがきれいに描かれることはほんとに少ない。劇場版アニメでもとくにない。他のメディアがオタクねた絡むとなんでこんなださくなるのかな~って思います。ネガティブな切り口だからださい。

アメリカの実写映画では「キックアス」あたり(これもずいぶん前ですね)を眺めてると綺麗にオタク趣味がライフスタイルに入り込んでるよなとかおもってたので、まいりましたねと思ったのでした。

 

2000年代の真ん中くらいから2010年代に入ったあたりのころ、商業アニメも観てなかったころでも「ハルヒ」やら「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」とか「僕は友達が少ない」とかバズってんなあと横目でみていましたよ。

 

あれを今観ると、メインのラブコメあらすじの中にオタクのライフスタイルがいい感じに描かれてる点がすごい。昔から「究極超人あーる」とか「げんしけん」とか文化系のサークルのひとたちのライフスタイルっぽい作品は随所にあったんですが、そのうちにもうすこしその趣味がカジュアルになっていく時期に「おれいも」が登場してたんだなーと思います。その意味でライフスタイルアニメとして金字塔と言えるくらいすごい。

僕は友達が少ない」アニメ版一話ではありきたりなラノベの展開が自分にも訪れるみたいなちょっとメタな描写なんですけど、あれは作中でそういう趣味が普通に日常生活のなかにあって、面白く書いているよねっていう。PSPでモンハンやったりとか。

そんなオタクのライフスタイル要素が絡んでるヒットラノベのなかで唯一実写映画化がされた「はがない」です。が、これがうまくライフスタイルを描いていたかと思いきや、またラノベファンやアニメファンが最も嫌がる部分の邦画の世界が広がっているのでした。

 

 

オタクのライフスタイルが結局肯定的に実写は描けないなーという 『はがない』

 

僕は友達が少ない」の実写版って原作イラストの絶対領域とか巨乳に引っ張られてサービスのエロ描写がけっこう入ってるんですけど、はがないの客層が一番ドン引きする描き方なんですよね…古い80年代の娯楽映画みたいなおじさん下ネタ区分のエロ描写というもっとも嫌がる部分が存分に入っています。なにしろ星奈の父親役に石原良純。しかも、彼のペッティングシーンがある。良純のセックスシーン、他の邦画でもドラマでも普通使おうとは思わない恐ろしいシーンがなんとラノベ原作に投入されているのです。

 

作中で夜空が歌うシーンが重要な位置にもあるんですが、その楽曲がなんと「タッチ」劇場版!原作アニメのOPかEDを使わないでこれ!このおじさん性、どういうことだよ!と監督の及川拓郎の年齢を見ると制作当時35歳くらい。嘘みたいだろ…伏見つかささんとかとそんな年違わないんだぜ…

ある意味善戦してる部分もあります。でもそれもおじさん性の意味でですけど…もともと友人を作れない主人公たちにシナリオは注力しており、作中でどこかしらに寺山修司的な要素を経由して「ビューティフルドリーマー」みたいなどこまでが夢(ゲームの世界)かわからない押井守っぽいこともしてたりする。

でもそれらが、ことごとく肝心のオタクライフスタイル要素と相反するんですよね。結局否定的なんじゃんという。監督の及川拓郎はもともと大学で演劇出身から映像関係に進んだ経歴で、テレビドラマを主に関わってるという方なんですけど、そんなライフスタイル部分を可視化してないっぽいです。この映画の中にオタクカルチャーと邦画・ドラマに関わる人の趣味嗜好の相容れなさが凝縮されているともいえるかもしれません。

 ああいう感じでしかも当たったアニメって今どうなんでしょうか。

ところが、アニメを実際制作する側のトップ(京アニからシャフト、トリガー、WITあたり)は実はそこまでオタクのライフスタイルを題材にする気ってなくて、作家によってはそんな邦画の世界に寄せてきてすらいる。京アニとかあれだけ日常描写が巧みなのに、実は思ったよりもオタクカルチャーの部分に冷めているように見える。

ライフスタイルアニメっていまどうなってんでしょうか。最近のここの書き散らしがスルーしてるだけでほんとは結構あって、いまなら「なろう」系原作のアニメが随所に描いているんでしょうか。

 

CREA2017年3月号 みんなアニメに夢中。

CREA2017年3月号 みんなアニメに夢中。

 

 

CREA」が商業アニメ特集をやり始めたりするぐらい、近年ではライフスタイルの中にオタクカルチャーは馴染んでいるし、いまはもう表立ってライフスタイルネタを語る意味はなくなったということでしょうか。「おれいも」当時は実際の個人ニュースサイトなんかを作中に登場させたりすることが火の付きどころだった、というのもありますが…ん?よく考えたらSNSでガチャガチャやるほうが盛り上がってるアニメ版「ポプテピピック」ってそういう部分も込み?じゃあいいや、いまのライフスタイルアニメはポプテ!オチでーす。

ところで「おれいも」「はがない」と2作もオタクのライフスタイル要素を綺麗に書いたアニメに関わっていながら、とくに今最先端の制作会社になっているわけではないAICはどういうことなんでしょうか?見たアニメは忘れましょう。培った技術もモードも投げ捨てて、次回にお会いしましょう。

 

俺の妹がこんなに可愛いわけがない (電撃文庫)
 

 

 

僕は友達が少ない

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