17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

地上波のエロアニメ、反応した奴が負けるチキンレース

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sin 七つの大罪 視聴11分

 AVをはじめとしたアダルトの領域ギリギリで、なんとか一般の棚に陳列されているようなタイプの露骨なエロがあります。あれは反応した奴が負ける。あんまり露骨だから買った方がちょっとみじめになるようなやつ。あんまり露骨だからエロというかむしろギャグになってるやつ。かつてインリン・オブ・ジョイトイというグラビアアイドルがおりましたが、ああいうやつです。手広くみたら叶姉妹なんかもそうかもしれません。

 これだけ萌えとかなんとかかんとか叫ばれて、ラノベからアニメからゲームからエロを摂取しているなかで唯一「まともに反応した奴が負け。反応したやつがみっともなくなる」社会実験枠が、どのシーズンも1つはあります。そうなのです。『sin 七つの大罪』はアニメオタクの全てを試すようにあまりにも露骨なそれを見せつけ、そして黙殺されているのでした。

 

 我々は叶姉妹をネタとして捉えている。叶姉妹の巨乳をまともに反応するのではなくネタとして捉えている。見せかけのゴージャス。めちゃくちゃな姉妹。そういうことが共通の見方だったのですが、ある日そうした日常が崩れ去る出来事に出会いました。

 自分の知人とたわいもない会話になっていたとき、話の流れで彼が本気に表情で叶姉妹を、マジで性の対象として捉えているという発言をしたのです。ぼくは予想外のことで、背筋が凍りつきました。同年代の男がいまなら広瀬すずがいいとか言っている中でこの発言は、パンドラの箱が開いたかのような寒気がするものでした。彼の瞳孔は開いていました。

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 なかば冗談でやってみたロシアンルーレットが、あるいはチキンレースが、本当に死人を出してしまったとしたらこんな気分でしょうか。冷や汗をかきながらトリガーを引き、限界までアクセルを踏み、生きていたとしたら「ヤバかったよな、バカみたいだったよな」で笑っていられたそれが本当の事故になったとき。叶姉妹を本当に性的にみることができる彼の存在は、交通事故の現場に居合わせたのと同じ気持ちにさせられたのでした。

 

 『sin 七つの大罪』は非常にゴージャスな絵作りで、露骨なほどの巨乳描写をはじめ冒頭から授乳やペッティングを平然とおこなう描写を丹念に描きます。が、これにまともに反応したとしたら、ロシアンルーレットの弾が発射されたとき(本当にひどい比喩にまで転じそうだ)、チキンレースで崖から落ちた時のような、エロスの交通事故に出くわすようなものです。そうなのです。ゴージャスなデザインで描かれる七つの大罪で現れる七人のヒロインは、ゴージャスな七人の叶姉妹でもあるのです。EDの一枚絵の開脚になんかで隠してるという、とほほエロ表現はその証明なのです。

 

 商業アニメでは各シーズンに必ず一つは叶姉妹が、往年のインリン・オブ・ジョイトイが潜んでおりエロスのロシアンルーレットを仕掛けています。それはアニメのキャラクターで平然と自慰できるかとかネットで公言している人々の多い終わっている時代であったとしても、こればっかりはほぼ黙殺しているのです。叶姉妹を性的に見ることで予測される大事故をみんな知っているように、『sin 七つの大罪』に本気で反応したゆえに起こる大事故を彼らはみな知っているのだと思います。アニメオタクはこれを「クソアニメだ」と罵ることで、本当に反応してしまうことで起きる大事故を恐れているのです。観たアニメは忘れましょう。それから培った技術とモードも投げ捨てて、次回にお会いしましょう。

 

月刊叶姉妹special―Super celebrity Kano sist (SHINCHO MOOK 126)

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