17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

「僕は能力者…自分の記憶をすべて覚えてる能力なんだ…」

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サクラダリセット 視聴14分

 

ジョジョの奇妙な冒険』第四部では1部から3部までのような大冒険の中でさまざまな能力者(スタンド使い)に出会ってきたのに対し、街の日常の中に能力者が溶け込んでいるという点が新鮮でした。仙台をモデルにしたであろう杜王町ではそりゃあ危険な能力者はたくさんいるんですけど、「ただ小銭を集める」とかしょうもないレベルで能力を使っているケースもあるんですよ。

  ただ、街で能力者は一般人にまぎれて日常を過ごしているゆえに、ふつうには何も起きないように思われます。しかし作中で登場人物があるジンクスを口にするのです。「能力者は能力者とひかれあう。赤い糸のように」 これは日常の中では普通出会うことはないけれど、ふと能力を持っているものにしかわからないゆえに能力者は能力者に気付き、出会ってしまうという話ですね。

 さて、『サクラダリセット』はどうでしょう?あらすじはどうなのかっと……「人々の半数が能力者の町、咲良田市。」とんでもないことです。咲良田市に何万人いるのか不明ですが、全国平均の中央値では一自治体におおよそ7万人らしいのでそれを採用すると……なんと約3万5千人が能力者ジョジョ第四部で出てきた能力者を総計しても数十人程度だったから、およそ1000倍も存在するこの町では「能力者は能力者とひかれあう…」のジンクスなんて、赤い糸のように淡く切ないものではなく単なる出会い系です。有名ラノベの学園都市は約230万人ですからそれよりはおちついているのですが、あっちはほとんどが学生だと抑えてますからね。こっちはもういい年齢の老若男女も能力者ってことですよね?市の半分の人口ですからね。

 しかし問題は能力のクオリティです。ベタに手のひらから火を放つ、電撃を発する、はたまた記憶を書き換える、時を戻す…派手な戦闘が可能なものから大規模なものを期待させます。「サクラダリセット」ではヒロインが時を戻すという、まさにジョジョ第4部の連続殺人犯のラスボスの持つ能力です。ジョジョでは自分の正体を暴こうとする相手が現れた場合にその能力が発動されることで、ラスボスは正体がばれることなく日常に溶け込むという内容でした。

 では「サクラダリセット」では自分の生命や日常を破壊しようとする相手が現れるから時を戻すのでしょうか?時をもどすなんていう凄まじい能力はそうそう発動しないはず。壮絶な理由があるはず。どれどれ「…泣いている女の子がいたから」…気軽に核スイッチを押すように時を戻すな!

 そんなヒロインに相対する主人公はどんな能力か?同じように時に関する能力なのか?それともそれを阻止する能力なのか?彼と彼女の能力次第で咲良田市の市民の能力者の平均クオリティはどれくらいなのかも判別できるかもしれません。さあ!彼の能力は!?「…自分の記憶をすべて覚えている能力なんだ」おまえは新入生の自己紹介か!

  なんと主人公がこの能力クオリティ。主人公はまわりのなかである意味で突出した能力があるから描かれるわけですよね。「とある~」は周りの学生が強力な能力者ぞろいのなかで無能力者の評価を受け、能力を無効化して素手で闘うため突出しているから意味があるんですが、逆に周囲がそれだけの能力があるのを示してるわけですよね。

 ではトホホな能力の主人公から逆算して咲良田市内の能力者を考えるとせいぜいこんなもんではないでしょうか。

「…僕は❝お金を集める❞能力。生活保護を上手く絞り出す」

「…わたしは❝自己を高める❞能力。SNSで自己評価の半端な人間を煽り、評判をあげることで自らの承認欲求を満たす」

「…僕はしっきー。❝情報をまとめる❞能力。なんの内容もないランキング100みたいな記事を量産することで検索汚染を促す」

 観たアニメは忘れましょう。それから培った技術とモードも投げ捨てて、次回にお会いしましょう。