グランブルーファンタジー 視聴した
そう、どう考えても気が狂っているということを自覚するべきだと思います。まっとふな統一されたルール、整合性のない世界というのは狂気以外の何物でもないのです。なんの話かって?PCで見ているならDMMあたりのブラウザゲーム、もしくはスマートホホンならApple storeかGoogle playでソーシャルゲームを、とりあえず目についたものを観てみてください。観飽きていても、あらためて。
低予算で作るために膨大なイラストレーターがたとえばこの戦艦をモデルにキャラを作ってみてくれ、この刀をモデルにキャラを作ってみてくれとかおのおのの作風に投げっぱなしにするのが当たり前です。テレビアニメのように作品世界や画風を統一する作画監督の存在がない。その結果どうなっているでしょうか?
キャラごとに世界観はバラバラ。トータルで見れば広い世界観の整合性を放棄したガラクタの世界です。基本無料がもたらす世界というのは、キャラ単体で見ればそれでいいがトータルでみればほんとうにガラクタなんです。金を出すことを惜しんだ時代が作り出したスラム、それがほとんどのソーシャルゲームの(ゲーム部分を度外視した)作品内の世界観です。
ある作品を観るとして、金を最初から例えば何千円か、いや何百円でもいいです。前金を支払ってから触れるということは、観客はその作品になんらかの統一された世界や、作家性といったものが保証されているのを期待しているからですよね。ところが基本無料の世界に近づくにつれ、そんなものはないウェイストランドになるのです。
それよりも、あらかじめ金を支払わないスカベンジャーまみれのでは世界観の統一や作家性はむしろ邪魔であり、ガラクタであることの方がウケるのです。ガラクタならば隙ができる。隙があるからオモチャにできる。ガラクタだと思っていじっていたら、むしろ全然使えることが途中でわかる。それどころか予想以上だとしたら大儲けではないでしょうか。
そんななか『グランブルーファンタジー』はソシャゲ特有のキャラクターデザインの統一の無い、世界観がキャラごとに分裂していると言っていい気の狂いから脱した作品です。事実、アニメだけみると大作RPGの忠実な映像化といっていい、作品世界がかなりのレベルで保障された世界です。(ただ回を追うにつれ気の狂う可能性は、いつも脚本にありますけど。)Cygamesのアニメは『神撃のバハムート』の続編も今季用意しており、狂気のスラム街であるソシャゲのなかでも唯一作品内の世界観が統一されていることが保証された作品をリリースしていることで気を吐いています。
しかし一方、この完成度の高さには隙がまったくない。スカベンジャーが略奪を行うにはドアにも窓にも固い施錠がほどこされている。スカベンジャーがこれをガラクタとしてしゃぶりつくり、他の仲間に号令をかけることはないのです。
去年はあらかじめ金を支払い、確かな世界観と作家性を見ることのできる劇場版の長編大作が話題になりました。いっぽう、あらかじめ無料である深夜アニメの世界はというと…観たアニメは忘れましょう。それから培った技術とモードも投げ捨てて、次回にお会いしましょう。
GRANBLUE FANTASY グランブルーファンタジー GRAPHIC ARCHIVE III
- 作者: ポストメディア編集部
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2017/05/30
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