17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

セルルック3DCGアニメが最初に力を発揮したのはゲームから、でいいのかな?「ベルセルク」

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またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

ベルセルク再アニメ化。まったく前知識なしでみたらなんとセルルック3DCG基本!山賊の娘ローニャ体制だ!…なんでしょうか?「ベルセルク無双」もでるせいもあるのか、全編に渡ってゲームのムービー画面を思い出しました。

 

 でもそれは、悪く言ってるわけじゃないです。むしろ素晴らしい(いやガッツの歩いてるシーンで明らかに滑ってるように見えちゃう荒さはあるんですけど)。セルルック3DCGと手描きシーンの組み合わせはもっと進んでいくんでしょうけど、見ていてセルルック3DCGが最初に力を発揮した場所って、ゲームからだったのではないかななんて思いましたよ。

 

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「まるでイラストが3Dの世界で動いているように見える」というセルルック3DCGのショックは2000年代はじめの「ジェットセットラジオ」や「ゼルダの伝説 風のタクト」などに触れたときに受けました。

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セルルックの魅力はゲームのムービーなどで生かされるようになり、スクウェア・エニックスの「ヤンガスの不思議なダンジョン」や「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」のOPなどなどで、セルアニメのようなアニメートを目指し、意図的に低フレームレートにした映像にしていました。どうでしょう?ちょっと今回の「ベルセルク」って、もう10年近く前ですけどこのあたりのムービーっぽいんですよ。でもそれがそれでいいんじゃないのっていいますか。

 

ゲームの方でセルルックは「原案のイラストの世界観を生かしたままゲーム本編に持っていく」ということに成功していました。元々3DCGが基調だから、イラストが動くと言う表現が導入される新鮮味に意味があったからです。ところがアニメの方ではどうしても手描きの2軍の感じがずっと抜けません。今ですらそうです。当然手描きがもっとも魅力あることに違いなく、どうしても省力の印象が出てきてしまうからかもしれません。

 

とはいえ「ベルセルク」はセルルック3DCGのモーションや表情のいまいちさすら含めて往年のゲームムービーで使われたセルルック3DCGムービーの奇妙な気持ちよさを思い出す出来でした。

 

ベルセルクは原作が原作だし、また剣術&弓矢・義手の大砲とかって完全にスラッシュアクションとTPSだよなーこれが作品が発表された1989年に出たんだからすげえよなあとまんまビデオゲームのデザインらしく、今更ながらに後世への影響を噛みしめたのでした。

 

 しかし、原作の当時の無情さや陰鬱とした感じというのはやっぱり再現不能ですね。あれはなんでしょうね?当時の日本国内で発表されていた既存ファンタジー作品の反論みたいにダークネスさや無情観が魅力であったのに、いつのまにか魔女っ娘とか小娘とかとパーティを組んで旅をするみたいな内容に原作が変わっていったように、ベルセルク観は変わっていってます。なんとなくダークネスが抜けたあとの現在の解釈から作ってる印象有ります。

 

 ベルセルクのダークネスさが抜ける決定的な分岐点は、魔女っ娘登場あたりではなく、妖精パックがぬるいデフォルメ(二頭身のキューピーみたいなの)をする以前/以後だと思ってます。あの観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

 

ベルセルク 38 (ヤングアニマルコミックス)

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