坂本ですが? 視聴12分
またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。
面白いとはなんでしょうか。もはや今回はアニメのデザインの話だとか脚本の話だとかはなしです。
ちょっと前にてれびのスキマさんによる爆笑問題の記事を興味深く読んだのですが、当初の予想に反してここのところボンヤリと思っている”面白いとはなんだろうか”ということを痛感させられるものでした。
先鋭的な笑いの印象があった爆笑問題が、ある時点からどんどんつまらないギャグをばら撒くように芸風を変化させてしまいます。しかし、どんどんとその地位は上がっていくのです。その当時のインタビューでは「ボキャブラブームの時に海砂利水魚(くりぃむしちゅー)はまだテレビで面白いことを言おうとしている」というあたりの発言を残しているあたりになんか思うところありますよね。
ある時点からテレビという枠内はメジャーである一方、大したことがないものなんだ…と判断してから意図的にバカやってる動きを演じ、ガンガンつまらないことをいうようになっていくようになっていくことで成功していったのでした。また、さっきの記事で言及されているフォークダンスDE成子坂に対して爆笑問題が「天才過ぎて売れなかった」という発言を残しているあたりもなんか思うところありますね。
「坂本ですが?」を観ていてそんな「”面白い”とはなんだろうな…」ということを思いました。とても安心して笑える作品です。本当に安全です。でも本当に面白いものは恐ろしいものですし、そもそもアニメ化すらされないのです。
前にも書いた気がしますが100%の面白さは受け手が疲れるから、70%の面白さを全力でやるというのをどこかで聞いたことがあります。さっきの記事にもありましたけど爆笑問題の太田が渾身の笑いを込めたコラムを出したところ「面白いけど、疲れたサラリーマンがこれを読みますか?」と編集者に諭された経験というのは思うとことありますよ。そんなことを思っていたところにはてなブックマークのほうでも「くまみこをニコニコで見たけど、あれいいな。」という記事が投稿されましたし、70%の面白さがどういうことかもわかるというものじゃないでしょうか?
面白いとはなんでしょうか?わりと渾身の力を込めて放った面白い作品って同業者か批評家くらいにしか響かないかもしれないし、作り手にそこを分かりやすくするため抑えろというのは美意識の問題で嫌がると言うのも少なくないです。
残業で疲れた人間に優しく寄り添い、そして忘れられるそんな面白さです。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。