17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

マジでとんかつとクラブDJがリミックスされるアニメになった「とんかつDJアゲ太郎」

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とんかつDJアゲ太郎 視聴2周

 

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 やっぱ日本の商業アニメーションにおいての「テンポ良い演出」というのは、作画枚数抑えめなものほどわかりやすく現れる気がします。「ニンジャスレイヤー」はややテンポの気持ちよさは足りなかったと思うんですけど、テンポ良い演出の能力が特筆して高い大地丙太郎監督の関わった本作「とんかつDJアゲ太郎」はクラブDJネタというのも相まってか、非常にすばらしい作品になってると思います。

 

 やっぱ音の出し入れとカットの切り替えや出し入れのタイミングがやたらいいんですよ。とんかつ調理のシークエンスからキャベツを刻む音、とんかつを揚げる音に加えてガーッと巻くしたててセリフをしゃべるアゲ太郎くんとその辺のリズムがやけに良いです。「キルラキル」なんかもセリフまくしたてカットをテンポ良く切り替え、そしてなによりあれは意外に作画枚数を絞ってたよなあとか思い出しつつ眺めていました。

 

 そこからメインのクラブのシーンに入るとさらに演出は加速します。音楽がシーンの変化と同期していくのです。DJのプレイする音楽に合わせて、ヒロインの登場シーンではフィルターがかかり、伝説的なDJがプレイを始めればなんとそこでリズムに合わせてとんかつ屋のオヤジと重なっていき、DJととんかつ作りが同じであることにアゲ太郎が覚醒していくのです。これ原作だとネタで止まるとこなんですけど、映像と音楽が同期したこのアニメ版ではバカを超えて感動的ですらあります。

 

 この辺の音楽の使い方やタイミングに関してが「ニンジャスレイヤー」はいまいちだったので物足りねえなあと思っていたので、シンプルに見えてかなり詰めて作ってるよなあと思っています。

 

 ともあれ、松本大洋の「ピンポン」を湯浅政明がアニメにした時くらい原作と監督が幸福な出会いを果たしている稀有な作品だと思います。春の「ラグナロクストライク」とか短編アニメを無視してもこれを一本観れば十分ではないかと思います。

 

 どうでもいいのですが「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」がアニメ化されるようなことにはならなくてよかったです。ある意味その面白味をやってるのが「ばくおん!」だと思ってるんですが*1…もういいか締めちゃえ!観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

 

とんかつDJアゲ太郎 コミック 1-5巻セット (ジャンプコミックス)
 

 

*1:なんかあるクラスタのイタさをいじるみたいなとこね