地下鉄に乗るっ 視聴フル
またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。
エクスプロイテーションという言葉は御存じでしょうか。日本語訳すると「搾取」という意味をさしており、アメリカはじめ世界的な映画業界の中で特定の人種やクラスタに向けた映画を指してエクスプロイテーション・フィルムというジャンルがあります。それは黒人の観客に向けたブラック・エクスプロイテーションや、性教育という名目でアダルトの題材を画面にぶちまけるセクスプロイテーションなどなど、様々な客層の欲求に合わせたさまざまな搾取の映画があるのです。
さて日本におけるエクスプロイテーションを考える際に、それが最も機能しているのがこのアニメベースのキャラクター産業を利用した、オタクのお客様狙いではないでしょうか。当初はゆるめだったのになんだかそれが加速してるかのようで、なんとなく最近(ネットの)そこかしこで揉めていますね。
もともとアニメの副次的なヒットだったはずの聖地巡礼で地方が潤うとか、じり貧だったジャンルに突如スポットライトが当たるというの、今や意識的に地方活性化ということで自発的に町おこししようとするものから協力的なものまで様々です。
さてちょっと前に発表されてる「地下鉄にのるっ」ですがはっきり言ってデザイン的にはかなりのレベルで良いです。というか、とくにアニメ的なるものに興味の無い乗客でも不快感を与えないようにしつつ、京都市交通局が想定している顧客に伝わるようにしたデザインということで、おそらく今もっとも一般層にも浸透してるだろう細田守~貞本義行ラインのようなギリギリのデザインにしていると思われます。
もっとも経済に貢献する対象、だなんて書きながらやだなと思うフレーズを使ってしまいましたが、どうあれオタク・エクスプロイテーションの方法はやたらに目立つようになってしまいました。性的搾取だ男根のメタファーだまなざしだどうたら以前にやっぱ特定の客層を搾取する手法がこんだけ目立つようになるのはすげえなあと思うことしきりです。
特定の客層に当てるための手法がこんなにも金が欲しい地域や界隈にて乱発され、それを目にした外野からの批判がでるが、それは結局性的なまなざしどうのやメタファーどうこうといった特定の客層の欲求を批判する形になるため、それを見た特定の客層が外野の無知をなじるというループがなんでか出来ておりこれを発電とかに使えないものかなと思います。
映画におけるブラックエクスプロイテーションやセクスプロイテーションやスラッシャー映画いうものはそりゃあ世間の目線とぶつかり揉めた、というのはあるでしょう。搾取するのは客層の欲求なのだから、そんなもんどうあれぶつかるのです。しかし客がまったく来ないところをエクスプロイテーションの方法で特定の客層を呼び込み…なんて話はまあけっこうあるんでしょうが…
オタク・エクスプロイテーションの手法がここまで公の形にまで拡大とかいうのをテーマにまとめたら面白い話にはなるんじゃないの、AKB48とかまで含めて書いたとしたらさ。ってことで誰かオタク・エクスプロイテーション全史とか言ってまとめてみてください。観たアニメは忘れましょう。でもまなざしと口汚い批判への反論の相容れなさはそのままに、次回にお会いしましょう。