17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

エヴァが京アニを踏み潰す「新世紀いんぱくつ」

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日本アニメ(-ター)見本市32話 新世紀いんぱくつ 視聴フル

 

 歴史は繰り返すともいいますか、いよいよセルルック3Dアニメートが極まることの凄みと哀しみの混ざり合うえげつなさを感じ入ります。京アニがここ10年内に極めた2D手描きでのコンテンポラリーなアニメートももしかしたら限界ということを示してるのかもわかりません。「ユーフォニアム」があまりにも力入れ過ぎて作られてる結果、皮肉なことに「けいおん!」の時には確実にあった手描きならではのラフさ伸びやかさが無くなり、ぼくが「なんだかセルルック3D的な…」なんて思って観ていた矢先にこれですよ。

 

 

 かつて極まったデッサンによって写実的な描写、その結果の無機質さを売りにしていた90年代のプロダクションIG押井守今敏などのアニメートは、やがてセルルック3Dの神山サイボーグ009、そしてポリゴンピクチュアズの「シドニアの騎士」に奪われ、現在手書きでやる意味は無くなったと見ます。(どれくらい手描きでやる意味が無いかというのは同じ見本市の「三本の証言者」を見ればわかると思います)。そのかわり同じような題材を取り扱うなら手描きならではのラフさ、感情移入しやすさという面で、90年代プロダクションIGの繰り返しながら「PHYCHO-PASS」ではキャラクターを推す形で意味を与えているんだと思います。

 

 京アニユーフォニアムやった後にこれ見せられるとかなり思うところあるわけです。押井&プロダクションIGとその後のセルルックの構図に似通っていますから。手描きアニメートがまるで実写映画みたいな動きや画面を実現、やがてその完成度が極まるとセルルックがそれを追う。スマホか手持ちカメラ越しで映される日常、それもセルルックでかなり出来てしまった。「新世紀いんぱくつ。」は逆説的に京アニヤバい!の可能性を見せてると見ます。

 

 見本市の自転車のやつもそうなんですが「セルルック3Ⅾですべて賄ってしまう時代になるのか?」という気分あります。手描きのデジタル製作でミスの無い完成度の高すぎる作画・映像というのが皮肉なことに手描きならではの魅力ではないという現象はあるかもしれません。なにより「世紀末いんぱくつ」のライブシーンから一気に不穏なラストシーンという落差は、一瞬エヴァけいおんごっこという企画もののふりをした、けっこうガチな日常ネタの描き方だと思います。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

 

 

 

 

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