17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

ガッチャマンクラウズ インサイト #04 内村光良「LIFE!」のコントを真顔でやっちゃってどうすんの

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ガッチャマンクラウズ インサイト #04 視聴はした

 

 アランムーアの「ウォッチメン」とかクリストファーノーランの「バットマン」みたいな切り口だよねと言えばおそらく最大級の賛辞になるとおもうんだけど、アクションシーンが明らかにコンセプトやSNSやTVを通して見つめるグラフィックデザインの面白さに遥かに劣ってしまうあたりまでノーランのバットマンでなくてもいいのになあと思いましたよ。

 

 SNS発フラットデザインとUHFアニメキッチュが闘ってる感じのトータルデザインが面白いところなんですが、2人の主人公の対照がそれに重なるみたいで可笑しいです。はじめちゃんのキャラクターデザイン(性格付けってほう)のキチガイ感は、ハルヒとかここ数年来のアニメ主人公(とか作中の中心人物)の無条件に弱点の無い無敵っぽさのカリカチュアだと勝手に思ってます。

 

 ところがそこに噛みつくのが意外に既存の熱血主人公然としてるつばさちゃん(しかも自分の意志で変身できない弱点→やがて力を制御していくように成長するだろうという、王道の物語のライン付き)なのです。

 

 主人公に弱点があってそれを克服しようとする展開が最近のオーディエンスにはだめになっているとかそんな話があるらしいですが、どこまでほんとなのかはともかく最初から無意味に無敵な主人公というのが多いのはそういうせいだとかなんとか。ここでもしこの後の展開でつばさちゃんの描写が弱点を克服するために一度深い挫折→そして復活、力の制御になるんだとしたら今のUHFアニメのキャラクター構築にたいして皮肉めいてていいなと思います。そうはならなそうですね。

 

 熱血的なくそまじめな部分と、空気を読まないキチガイ感の激突はメインテーマであるSNS利用の選挙にも及びます。伏線は特になく唐突に辞任する首相。そこでスマホ選挙が始まるのですが、そこで立候補するのが宇宙人ゲルセドラ。子どもだから駄目だよとかいったら大人に変身。立候補。なんだこれ…どっかで見たことあるぞ…あっ!あれだ!ウッチャンのコント宇宙人首相だろ!

 

 おおまじめにアランムーアとかノーランだなんて言ってはいけないですね。内村光良の「LIFE!」のコントシリーズ宇宙人総理を真顔で、凝ったデザインで展開しているのがインサイトです。冷たく真剣に観てそして笑いましょう。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

 

 

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