夜のヤッターマン 視聴フル 制作タツノコプロ
また一つ現れました。瞬間的に熱し忘れられるために生まれ、次の瞬間に繋げる礎です。
しばしば思うのですが日本商業アニメの構成で他に似ているものは、それはDCコミックスやマーベルコミックスといった大手商業アメリカンコミックです。
その心はガンダムやらスーパーマンやらの大口のタイトルを発案した作家ではなく企業側が保有していること・シリーズによってライターのヒーロー解釈が変わっていくこと・そうして長い歴史のタイトルやヒーローであるにも関わらず、ロボットネタであるとかヒーローネタであるとか、強固な亜ジャンルの構造から時代の感覚や情勢さえも絡めることで時代ごとに解釈を洗いなおすアプローチがあることです。
日本アニメとアメコミの立ち位置を比較すんのならスーパーマンがガンダムでスパイダーマンがマクロス、ウォッチメンがエヴァンゲリオンとかそんなんでしょうか。だんだん無理矢理になってきますけれどもタイトルを解釈するライターに作家的な陣営が幾人もいて、そこの評価の高さであるとか。アラン・ムーアであるとかグランド・モリソンであるとかの主要なライター陣の立ち位置の高さも虚渕玄が現在アニメの脚本として重要な立ち位置を獲得し、どうあれ批評的に大きく語られているのにも似ていなくはありません。
ほんとスーパーマンも作品によっては旧ソ連の象徴としてのヒーローになったなら?の切り口とか、ガンダムも宇宙世紀のものが全て黒歴史として全く別のパラダイムに解釈するとかむちゃくちゃですからね。
- 作者: マーク・ミラー,デイブ・ジョンソン,キリアン・プランケット,高木亮
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2012/08/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 42回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
- 作者: グラント・モリソン,ニック・パケット,高木亮
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2014/10/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (2件) を見る
「夜のヤッターマン」はそんな風に現代のアメリカンコミックスの名だたるヒーローたちが時に現実のせせこましい社会環境に適応した形でヒーローをやっているとか、時にほとんど一般人と変わらないような生活をしているとかの「ヒーローは無敵ではないし神話の人物でもない」みたいな幻想が解かれたデザインの時代の切り口を思い出します。
どうも単純にヤッターマンとドロンジョの善悪の価値が逆に~それが本作の価値転換現代性どうたら~だなんて内容とは思えず、主要なポイントは70年代からのタツノコプロ代表タイトルの神話性アイコン性を解いていく感じな気がします。
どこか枯れた現実としてヒーローを捉える「スーパー!」みたいな。本作のツボは1話ラストシーン、ぼろぼろの即席の衣装でドロンジョたち3バカのせせこましく惨めな感じからスタートしてるとこ、そこにある気がします。
そこには既存のヤッターマンのアイコン性が著しくはぎとられた、アメコミにおける現代式のヒーローの解釈を思い起こさせます。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。