17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

生々しい日常アニメファン必見!おすすめのSHIROBAKOランキング・ベスト10!

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第10位 SHIROBAKO

 

 さあ今シーズン第10位は「SHIROBAKO」!製作PAワークスの新作で、やっぱシーズンを通してトレンドに合わせた上で、一目でここのデザインだとわかるスタジオのブランドを確立している京アニやらシャフトやトリガーに加えて、何らかの独自性やここならではのデザインのルールを持つスタジオの新作です。

 

 

第9位 SHIROBAKO 

 期待の第9位はニューカマー「SHIROBAKO」!視聴時間17分。

第8位 SHIROBAKO

 ランクインした第8位はベテラン「SHIROBAKO」!また一つ現れました。瞬間的に熱しすぐさま忘れ去られ次の瞬間に繋げるための礎です。 

第7位 SHIROBAKO

 さあ来た!いつでもランクインのSHIROBAKOヒットメーカー・「SHIROBAKO」!

 冒頭はよくある高校生の日常ネタ・趣味ネタのアニメ同好会ネタで進む「けいおん」とか「山野進め」に近く、ベッタベタで純朴に見せるドーナツを掲げるみたいなありがちな構図。ところがそこから一気にハンドルを握るカットへとジャンプし、アニメの制作進行となった現実シーンへと変わる。

 この画面転換ぶりの中に、雌ガキを集めた日常ネタ趣味ネタに生々しい形でカウンターを撃つような方向にもっていっているようです。

 

第6位 SHIROBAKO

 

 これは番狂わせ!SHIROBAKOランキングを攪乱するダークホース「SHIROBAKO」が第6位!

 趣味ネタでけいおんとかで練習もロクにせずに音楽上手くなってる!といかいってぶち切れてる向きがありましたが、あれはもう逆にいえば専門外だから実際にやる際の臭みもコンフリクトもロクに描かない。でも代わりにアニメートのかわいらしさとか感情移入のフックに特化するため、それはそれでいいと思います。

 しかしやっぱアニメをネタにやる場合、趣味ネタとはいえ実際に作ってる臭みも現場のコンフリクトも知っている側からしたら、さすがにそれ抜きで甘い日常ネタをやることはなく、殺伐と生々しい感じを随所に感じます。

第5位 SHIROBAKO

 さあ折り返しました!第5位はまさかの復帰から返り咲き!一発屋返上の「SHIROBAKO」!このように現実レベルに近めのデザインにしている中の、アニメ内アニメはなぜかベッタベタな髪色が原色で分けられシルエットも極端な魔法少女ネタばかり!それにしてもなぜここで「グラスリップ」とかやらないんでしょうか?ああいうのがアニメ的紋切型の象徴だから現実レベルと差がつけやすい?

  

第4位 SHIROBAKO 

 

 これは予想外!第4位はSHIROBAKO!SHIROBAKOランキングが確変した!

 

 原画が上がってないトラブル発生したときに、早急に代わりのアニメーターを探る際にワンカット現れる、老齢のアニメーター。現実に還暦を過ぎ、現役で原画を担当しているアニメーターも少なくはないらしい。 本作は随所に生々しい描写がありますが、こういう微細な部分の積み重ねが多いです。

 

 でもそのなかでいいなと思ったのは監督や演出の、主人公格の女の子のデザインと著しく異なる男性陣がベランダで煙草を吸いながら進行の話をする、しょうもないまでに生々しい自然さ。紋切り型で男性キャラが煙草を~なんてのでキャラ立てするようにあざとく描かれるのですが、ここは何一つ格好良くもない現実のオッサン方の日常です。しかし、それがもっとも身に染みる手触りが出ています。

 

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第3位 Prometheus Garden (1988) Bruce Bickford

 

 第三位はこのエントリのネタがそもそも「ボーボボ」のネタをいまさらパクり、ランキング系記事の糞さへの嫌がらせなのだがその均衡を打ち破る、SHIROBAKOランキングをかき乱すカルト作品プロメテウスガーデンだ!

 カルティックなアニメ作家・ブルース・ビックフォードのドラッグのようなアニメ体験をもたらすクレイアニメ。同じくカルトな現代音楽を行っていたフランク・ザッパのPVなどを制作していたと言う経歴を持ち、まさしくここには歪な映像感覚がある。

 

 ほぼフルアニメーションで描かれるのは、キャラクターや物理現象の実感を再現する形のアニメートではない。人間の身体や認識といった感覚が揺れ、崩壊に至るメタモルフォーゼが全面に描かれ、ドラッグを通したかのようなアニメートなのだ…

第2位 SHIROBAKO 

 

 さあ今シーズンのSHIROBAKO第2位はその力はお墨付き!SHIROBAKOです!
 
 アニメ制作アニメという一見楽屋オチという風に映るのだが、しかし逆を取れば紋切り型を超える、真に皮膚感覚でわかっている自分の体験や感覚というのを反映させられるフォームとも言える。これはド素人だろうと実体験を元にした逸話には、ある程度の話術や文章力が必要であるが生の感情と感覚が込められているため観客の感情移入を最も促しやすいものだ。やはり真に観客の心を打つのは、紋切り型からさらに一歩超えた自身の体験した感覚や感情を込めることだ。
 
 しかし問題は、実体験から離れた完全に架空のものを描く際だ。例えば殺人鬼を描くとして、描く側に殺人の体験や経験は必要か?という疑問はしばしば上がる。体験したことのないものにはやはり自身の感情や感覚は繋がらないものだから、紋切り型に頼ることになりがちだ。
 
 だが紋切り型ほど誰の心も打たない。だから紋切り型に陥らないように、作り手は感情移入や感覚を込められる導線を敷く。生々しい実感を生むために世界観のディテールや、登場人物のプロフィールを細かくして現実に環境を近づける手法。殺人鬼やら自身の日常や体験から遠いものに対して、それでも自身の感情や感覚にアクセスできる感覚を探り、生々しい感情を作る。
 
 
 演劇の方面になるのだが、こうした問題に気付いていた人間にスタニスラフスキーがいる。スタニスラフスキーは徹底して紋切り型の演技を批判し、いかにして俳優本人の体験や感覚を芝居に反映させるかのメソッドを作っていた。

 

演技エクササイズ306―スタニスラフスキー・システム

演技エクササイズ306―スタニスラフスキー・システム

 

 

  

第1位 SHIROBAKO 

 

 さあランキング第1位はSHIROBAKO!他のSHIROBAKO突き放すぶっちぎりのSHIROBAKOポイントを集めたSHIROBAKOでした!

 

 長編アニメは他の実写や演劇におけるドラマの観点で言えば、特に紋切り型の連続といえます。紋切り型を揶揄する言葉も「萌え絵」「アニメ声」やらなにやら溢れてるわけです。そこから逸脱するところに実体験というのは本当にでかいのだなと改めて思わされましたよ。そして改めて、その実体験の感覚を架空のものにつなげて実感あるものにするということがなかなかできず、紋切り型に陥ることも。

 

 どこかレトロなPAワークスでしたが、そこにある技術自体は非常に現代的で確かです。そこで一種紋切り型を超える瞬間を見せたのが、このSHIROBAKOランキングです。しかしそれは内輪ネタ公開でようやく、というそれなので、根本的にはツラいとこあります。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回でお会いしましょう。

 

 

アニメーションの本―動く絵を描く基礎知識と作画の実際

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