17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

小洒落たデザインをよしとするトレンドに喧嘩売るかのようなダサさをぶち込み傷つける「クロスアンジュ」

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クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 制作・サンライズ 視聴5分・4分・3分に飛ばしつつ

 

また一つ現(めんどくさくなったのでカット)

 

 凄い作品ですよこれは・・・

 

 しょっちゅうデザイン雑談で取り上げているアニメ制作のアナログーデジタル変貌の話にまたなるのですが、この変貌を意識するしないで大幅にデザインの差が出てくると見ます。

 

 デジタル以降ってのはアナログのノイズの深みや不確定さの面白さが消える代わりに、使える色数・レイヤーの数の増量などや、ノイズが無くなるかわりに京アニやシャフトのようにグラフィックデザインの意識が非常に大きく作用しています。とりあえずグラフィックデザイン的な意識が一発でわかるのはOP・EDの演出でしょう。映像と音楽という時間芸術のミックスで1分以内にどういう作品か?を表現するからです。*1

 

 2000年くらいからそのあたりのデザインの詰めが進んでて気が付けば小洒落た映像や、登場人物のファッションもけっこう気を使われるようになっていたりと水面下でけっこうな変化があったと思います。

 

 しかしその意味でサンライズのオリジナル作品の「クロスアンジュ」はビビりました。わりとオタク趣味もちょっとしたサブカルのひとつってことでファッション誌やらが記事にしたりと許容が進んでる昨今、アニメ趣味が昔より広まったつうか実際にはアニメのほうのデザインももおしゃれになっていたと思うんですが、クロスアンジュは完全にオタクがスクールカーストの最下位で白い眼を向けられまくる根拠になるかのような80年代とか90年代のようなデザインです。色彩統一無視!エロ目的ででたらめすぎるコスチューム!ガジェット効かせまくりのロボ!などなど…

 

 いまどきどんな作品でもトレンドに合わせてちょっとは洒落たところを作るのは少なくないなか、ここまで全力をかけてダサいのを放出するってのはすごいことのような気がしてきましたよ。しかも、「キルラキル」みたいに意図してやってんじゃなくて、天然でやってる感じが。

 

 逆をとれば小洒落たデザインってしゃらくさいわけです。ほらクソみたいな腐し方の言葉にオサレがどうだってあるみたいに。今はかつての80年代なダサさもトリガー今石監督作品みたいに反転してデザインの味の一つとして解釈しなおすくらいまでレベルになってるところに、クロスアンジュのここまで激烈なダサさはもはやシーンに喧嘩を売るレベルを超えて思想のようですらあります

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 これ、ガンダムSEEDの監督がクリエイティブプロデューサーなんですか…あれは「アニメ最悪のファッションセンス」ということで今でも時折ネタとして上がってきますが、なにかあの作品とのつながりを観るにもう本物のダサいやつがおしゃれで少し強気で気取りつつあるアニメのトレンドを汚し、凌辱しかつてのタフでダサい時代の何かに戻そうとしてるかのようです。80年代とかそのあたりのころの中高あたりで何もせず趣味の話ばっかしてた文芸部の部室の空気みたいなもんを取り戻そうとしてやがるんだ!というか。

 

 ほんと大筋の映像の流れもそんな感じ。気高い王女さまが栄光から一転、被差別者に回り汚される。いちおうまっとうなドレスを着飾ったデザインから一転、この世のどこにも繋がらないめちゃくちゃなバランスのコスチュームでもの凄いガジェット的な変形メカに乗せられると言う反転。まるでお洒落でデザインのいいアニメの方向なんて糞くらえ!アニメートの技術の正統性も糞くらえ!デザイン的なアニメも糞くらえ!真のアニメの正道はこういうキッつい衣装とロボで、ファッションモデルがまどマギのコスプレしてオタクアピールできるお洒落のエッセンスじゃねーという感じがあります。

 

 ところが、この手のサンライズ作品はそもそもの動画のタイミングがあんまり気持ちよくなくて、それゆえあまり人物も生き生きとして映らないのがつらいとこです。世の小賢しいお洒落、ファッション雑誌に特集されるような方向なんて糞くらえだという革命ので動いてみたがいいが、肝心の運動不足であんま動けてないような…悲劇…それも悲劇…みたいな感じに映り…観たア(めんどくさいからカット)

 

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ダサい日本人たち ~Why Are We So DASAI???~

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*1:寄生獣セイの格率とか神撃のバハムートなんかはオーソドックスな芝居やアクションの作画に注力してそういうグラフィックデザインの意識はほぼ捨ててます。今シーズンはデジタル製作のデザインセンスで特筆される作品が少なくて、基本ダサ目だが芝居の良い映像が目立ってます