また一つ来ました。瞬間に熱しそして忘れ去られるために積み上げられ次の瞬間に繋がれる礎です。
「ハルヒ」ー「けいおん」によってアニメートと映像技術が極に達した京都アニメーションの自社企画路線は、そのクオリティに反するように「これはどの客層にそもそも向けられた作品なんだろうか」という疑問が生まれるような作品がいくつかありました。「たまこまーけっと」はもうアニメートも映像も(TVアニメレベルでは)極限。しかし放送時間上や市場的に一体誰に向けられているのかわからない究極です。
並のスタジオのアニメートや演出の文法から外にでた、おそらくは旧東映動画並にアカデミックな文法を構築しようとしてきているだろう京アニ。本当は商業アニメーションのトラディショナルなディズニー・東映動画から実写感覚の入った現在までのアニメートを理論的に詰めた動画芸術を目指すタイプと見え、「とてもかわいい女の子のデザインやアニメートしてる」ように見えながら実際にはそうした市場に迎合することをまったく目的にしていないように映ります。そこんとこがA-1あたりと差があります。
にもかかわらず本作はラノベ原作コンサバティブな路線です。一見事前のスチールやトレーラーを観るとキャラは巨乳、多数の女の子を取り揃えでハーレムみたいな感じと安全パイを出してるかに見えます。ところが、これが映像として稼働した瞬間にその感触は真逆へと変わります。
根本的な市場に合わせたコンサバティブ…これをやろうとするともう技術の高まったスタッフ特有の性格最悪がにじみ出ます。一流の音大を出て数世紀にわたる音楽のコンテクストと技術を習得した人間がプロになった際、この世で一番すぐれた音楽がGReeenくらいしか見えてようなクズのようなロックバンドのストリングス曲の演奏ばかりが仕事になってしまう時の気持ちみたいなものでしょうか。
監督は武本康弘氏ですか…「氷菓」みたいな極限がおそらくナチュラルな状態の手前、ラノベアニメゲームでこの世界で一番うまい食いものはラーメン二郎みたいな客層にテンションを合わせるのは実に萎えることでしょう。そこには皮肉な精神を隠し切れなくなっています。
「フルメタルパニック」とか書いてた方のライトノベル原作でありながら、実際の映像で表現されるムードは枯れ切り無情になってる。オタクコンサバ市場に合わせてるように見せかけながら、やっぱりオタクコンサバ市場には呆れてる視点を隠せない。
無残に廃れた遊園地を見つめる視点は、京アニ自体が市場をこんな風に眺めているかのようです。そこにはアニメ化されるラノベ特有の中学生的で自意識ばかりがすっ飛んだムードがありません。(事実、主人公の兄ちゃんのモノローグは一つもない)ぼくはかつてない皮肉さを面白がりましたが。
京アニにはもっとジブリ鈴木みたいなプロデューサーがついたとして、そのアカデミックなレベルまで積み上げようとしているだろうアニメート技術を世間レベルまで戦略的に広める役が観たいとこです。「たまこラブストーリー」ってあれもう少し一般にも、みたいな感想を見た覚えがあります。 もう京アニはそうした世間を狙った作品で主演声優・剛力彩芽になるような方向へ行きますように。*1観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。
え?動画芸術云々の意味にあたるところはその直近のとこでディズニーとか東映動画的なとか書いてんじゃん ブックマークで気取った一言コメントだす割に根本的にはなにもわかってないカスの典型例すぎる…見込みないのはわかったからしっかりして