17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

DRAMAtical Murder アニメ界隈が解釈できるストリートカルチャーは90年代が限界

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DRAMAtical Murder  視聴17分 原作ニトロプラス 制作:NAZ

 

 なんでかあれを思い出すんですが、ほらあれ、「ジェットセットラジオ」。90年代チーマーとかあれをアニメ・ゲーム側が解釈する場合の限界点がそこまで。このアニメでどこか90年代的な、と感じたのも、その辺のテリトリー差のような気がします。

 

 秋葉原か中野しかない、オタクかサブカルしか住人のいない街とも言えるアニメマンガラノベ界隈でも、たまには池袋や渋谷シーンにも顔を出したくなることあります。でもマジもんの路上の人々に関しては解釈不能になります。ニトロプラスのこれは90年代にはわずかにあった、まだ切れてたころのクイックジャパンや「TOKYO TRIBE2」の井上三太などのサブカルチャー経由のストリート解釈というので何とか持ってる感じします。

 

 ストリートの解釈はもうほんと、アニメ苦手中の苦手ですね。それはBGMでほとんどと言っていいほどヒップホップが召喚されないことからも強く思います。いやいや、ストリート=ヒップホップってどんだけ単純だよって思われるかもわかりませんが、これはアニメ裏テーマである映像と音楽のシンクロナイズという意味で本当に苦手なのではと思ってます。

 

 ここ雑に書きますが、現代商業アニメではメロディアス(鼻歌で口ずさみやすい感じ)に加えて4つ打ちで、うねりを排除する歌唱、アニメ声の甲高い声域に合わせた楽曲構成が多く、初音ミクなどのボーカロイドの楽曲をざっと眺めてもこの辺の影響強いと思います。とかいってぼくは音楽ド素人で申し訳ないですが、「JPOPの王道のコード進行やらはボカロやアニソンの人気曲ではかなり利用されている」というのをどこかで読んで納得した覚えがあります。

 

 アニメBGMはEDM的なエッセンス(岩崎琢さんがががんばっておられます)から時々ダブステップなどクラブシーン経由エレクトロニカには接近しますが、ともかくストリートのBGMに繋がるブラックミュージック、R&Bやヒップホップってのは本当に相性が悪い。低音の声域・唸りを効かせるリズム・トラックのループを利用することによる少ないコード進行と、メロディラインの少なさ(まあサビがメロディアスってのはあるが)などアニメで主流の音域や表現に外れるゆえかでしょうか?かわりに実写映画の領域にて路上の気配をもたらすヒップホップは機能してます。「サイタマノラッパー」シリーズや、「サウダーヂ」など。

 

 「サムライチャンプルー」など渡辺信一郎なんかは積極的にジャズやヒップホップを導入しますが、それでもストリートのそこにまで接触することはありませんでした。マッドハウスが「TOKYO TRIBE2」をアニメ化するも、やはりストリートカルチャーのアニメ翻訳はやり切れたとは見にくかったです。

 

 大きく脱線しましたが、DRAMAtical Murderはもうトレンドが20年前に過ぎたストリートカルチャーでしかもサブカル経由でのアニメ解釈したものを引きずってる感じします。そして主人公のあの足のファーみたいなやつのダサさはなんとかしろ!観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

 

SOUL JAPAN (ソウルジャパン) 2014年 08月号
 

 

 

TOKYO TRIBE2  第1巻

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ジェットセットラジオフューチャー

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