ジョジョは原作の再現度が非常に高いことで評価されてるとも思いますが、その評判を聞いてからの僕としてはマジで?これでいいの?という印象はぬぐえません。
もちろん第3部時点の荒木飛呂彦の画風をかなり再現している時点でディモールト良いディモールト良いという部分は多分にあるわけで、以前の第3部OVAの時のような、アニメ製作会社が最も映像を作りやすいだろうスタイルのデザインと荒木飛呂彦の画風との齟齬が最小に抑えられています。
OVAの第3部。荒木飛呂彦の絵柄と製作会社が映像にして製作しやすい絵柄が拮抗している感じ
僕は漫画にアニメ化に限って原作再現というものにそこまで趣を置いていないのですが、しかし漫画というメディアと映像というメディアとで、たとえば音楽からカメラのカットの問題などの絶対的な違いが数多く存在するために、映像においての原作の再現というのは非常に難しい。なので原作のテイストを映像に描き起こせる時点で相当な労力がかかる。
それも分かるのですが、どことなく表層的なレベルのそれのような気がしなくもありません。決めのシーンでドッギャァァーンとかあの独自の擬音も画面に表示されるというそれは、果たしてこれが原作の再現といっていいのでしょうか?
ジョジョは少年ジャンプの中でもそのクリエィティヴィティが周辺の漫画と逸脱している、ってだけでなく、普通に日本の漫画全体としても逸脱してる部分があり、にもかかわらず能力バトルうんぬんが~という側面で王道という作品という評価がほとんどなんだと思いますが、その逸脱の部分に関してまでアニメが原作の再現が出来てるとは見えないです。
ジョジョの逸脱の部分は「そこに痺れるあこがれるゥ」だとかさっきの擬音だとかすでにネタにする面で、逆になんとか落ち着いて安心してる、茶化すことで理解できるラインになんとか置いてる感があると思うんですが、アニメで出来る再現というのもこのラインまでで止まってて本質的なその逸脱の面にまで掘り下げきれていないように見えます。
そのジョジョの逸脱面とはなんでしょうか?これが、意外にちょいダサモードかサブカルアヴァンギャルドモード主流の秋葉原か中野しかない日本アニメ界隈が尋常極まるくらいに苦手な界隈にあるような気がします。そう、アートやファッション方面です。
基礎クリエイティビティのソースには世界的なファッション誌の代表である「ヴォーグ」、そしてイタリア・ルネッサンス美術あたりを常に置いており、ジャンプコミックスの表紙はまるでファッション誌に載せられるような高級メゾンの広告であるかのように描かれています。
マジ物のファッション方面のプロである資生堂のヘアメイクアーティストによるコラボは、完全に今回アニメが一切フォローしきれていない「ジョジョ」のアート・ファッション方面を補完する形となっており、荒木飛呂彦がソースとしている面を存分に理解していると思われます。またジョジョ25周年を記念したころには数多くのムック本が出版されたと思いますが、当時流し見したところ美術手帳が特にこのアート・ファッション方面について上手く言及していた記憶があります。
ジョジョのアニメ版にはこうした面が丸々抜けており、ギリギリ画風が似ていて演出方針としてはファンがネタで消費している部分に近いちょいダサの矮小化が目立ちます。そこで収まっているゆえに、荒木飛呂彦の原作が持っている本質面まで踏み込めていない、そんな印象があります。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。
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