17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

ワザとダサいをやるダイミダラーは笑えない なぜってロボットアニメは今、全てダサいから差がつかない

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ガキの戦争のモードたるロボットネタは本当に90年代からストップしてますね。ということを逆説的に痛感させられるのはこの「ダイミダラー」のような80〜90年代のパロディを主にしてる作品を見た時です。基本寒い。というだけではなく、そもそものロボットアニメネタ全体のトータルデザインが全く前進してないせいもあります。

 

 

 

すでに話題となってましたが、公式サイトのほんとにどうしょうもない90年代末期くらいのあの個人ホームページのあの感じ、あれはしっかり"笑える"物件です。インターネットが一般化して行くに連れて、ユーザーインターフェイスから視覚のデザインまでとにかく洗練されていき、あっという間にデザイン感覚の全くない個人ホームページの形式は古びて行き、「今振り返ったらなんだこれ」ということを思い知らされるためウケるわけです。

 

80年代から90年代の当時にも70年代60年代の「なんだこれ」を取り上げて笑うってのは巨人の星から電人ザボーガーまで数限りなかったわけですが、これもなんだかんだで時代が進んでリアリズムやらデザインのレベルがグッと上がったわけで、それで過去がマヌケに見えるということがわかったからそれが起きたわけです。

 

  ある時代からおよそ20年経過することで、過去が一つのエッセンスとなってリバイバルの材料になる・あるいはパロディの材料になるとは思うんですが、意外にロボットアニメ全体で前進が見られないこともダイミダラーの寒さと無関係ではないでしょう。80年代90年代パロディのつもりが、そもそものロボットアニメネタ自体が80年代90年代からほぼ出られていないんです。ノブナガザフールからキャプテンアースまで、一体どれだけ、何を進歩させたのでしょうか?ホームページのパロディでは切れ味あったのに対して本編の寒さというのはこういうデザインの進歩の無さが大きいです。本来だったらエヴァナデシコエスカフローネも失笑の対象として扱ってナンボになってなきゃおかしいんですが、あんまり見られないですね。

 

 あと、ニコニコでボケっと眺めてたら主人公機なメカデザインを義務と権利のようにダセーダセーというコメントが飛び交ってたわけですけど、あのデザイン自体は(100%原作者は気づいていないだろうが)クールなデザインという可能性に満ちています。アシンメトリーでほとんど骨格のような細身、ほぼベージュ一色の機体という「ガンダムUC」のようなカトキハジメデザインのようなワンテーマに情報量詰め込むのと真逆だし、しかもべつに過去の80年代や90年代のパロディ的な意識もわからない。メカデザインは「綺麗にバランスよく収まり、パーツが組み合わさっている状態」のその次にワザとバランスを崩す、文脈を崩すなんて段階にはまったくいかないあたりもまた、ロボットネタの停滞感を感じます。

 

 このデザインこそ現代ロボットアニメのアンチテーゼだ!唯一の希望だ!と思いきや、ただ単に原作者のデザインの基本なんて何もわからない中高生時代の黒歴史落書きのメカデザインを使っただけというやっぱり寒いオチの可能性の方が大きいです。

 

 なんかこういう分野でも女の子日常萌え系統のほうが上手くパロディできそうですね。ほら、ことぶきつかさだとかのああいうゲシュタルト崩壊したキャラデザインでハーレムネタうんぬんのどーしようもなさを失笑のネタにするとか。寒いギャグは忘れましょう。でも培った客の冷たい目線とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

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