アニメーションムービー「未来への旅立ち」 視聴フル
「多くのマーケティング関係者の想像以上に、日本の若年層にとって、アニメは身近な存在です。」
「若年層にとってアニメはもはやサブカルチャーではなく、メジャーカルチャー」
「近年、日本製アニメ映画がグローバル市場でヒットしていることもあり、日本製アニメの海外人気はかつてないほどに高まっています」
以上は電通による、広告におけるアニメーションの価値をまとめた記事から抜粋したものです。そのとおり、いま広告アニメではシャフトから3DCGアニメの雄・オレンジなどが関わっていたり、『京騒戯画』や『血界戦線』の松本理恵や「ラブライブ」シリーズや『宝石の国』の京極夏彦などが監督しており、クリエイティブとして見るべき部分も大きくなっています。ざっくりと言えば、ネットのオタクをわかっているか否かが、このジャンルにはとてもよく現れるのです。
しかしそれができるのも、クリエイター以上に企画者側が「アニメがメジャーカルチャーである」世代で理解できているから、というのは確かでしょう。では漠然と「まあアニメは受けるみたいだからこれで……」とやった場合どうなるか?すごく奇妙な味わいが生まれます「続きから」にてアート引っ越しセンターのアニメをご覧ください。
新生活に向けて荷造りしてた少女が、未来に連れていかれ疑問も抱かず勤務する謎のストーリー
明日の引越の準備を進めている女の子・いずみのもとに、突然引っ越しセンターの職員が来訪します。なんとそこに現れたのはロボ。
えっ?今日荷物を引き取りに来たの?と思いきや、なぜかロボはいきなりいずみちゃんをトラックに載せ、なんと未来へ――今後の引っ越し業界の展望を見せるだけかと思いきや、なぜかいずみちゃんはそこで働き始めていました。どういうことでしょうか? あの、現代で新生活のために荷造りしていたのはなんだったのでしょうか?いずみちゃんは「未来に連れてきた理由は何?」と問いかけ、第1話は終わります。
花澤香菜・石田彰をセレクトしながら、いくらなんでもストーリーがめちゃくちゃすぎるんです。全体を通して企画側に「ネットのオタクがまったくわかっていない」ひとが製作を決定してしまったとうかがえる、言葉にならないずれ。アニメなんだからロボがいいだろう。未来世界がいいだろう。残念。もうロボアニメも未来アニメも下火です。ざーさんがヒロインがいいだろう。それは正解です。
「もしかしたら狙ってずれたことをやっているのかもしれない」かもしれませんが、経験上、こう言えます。大体ずれていると。
他PRアニメとの企画段階での差
日清のPRアニメと比較すると、あからさまにネットのオタク層の理解度が企画レベルで現れてますね。やや最前線のスタジオとは格が落ちる絵作りとも相まって、すごく奇妙なPRアニメに見えます。
ネットのオタクのわかってなさ加減(それはバズで広がりやすいことから、作品としてクリエイティブな作り方をしているかどうかも含めた)それがほとんど見えないという。かといって北海道の農業PRアニメのように地味なものにもしたくない。結果、よくわからん未来とロボ展開という。
同じくPRしたいサービスを未来世界に描いた『あの日の心をとらえて』が違和感なく、単品としてアートスタイルもストーリーも高い完成度を見せたのに対し、意味不明な未来像でそのまま勤務しているというのもすごい内容ですよ。
しかし……このいまいち客層のわかってなさに変なパワーがあるのは確かですよ。何でしょう……「太陽の法」のアニメーションのような……「広告代理店がアニメに注目し始めた」ことで起きる謎の作品でしょう。
7月に第2話が公開を予定しているとのことで、ほんとこのストーリーのオチはどうするのだろうと注目しておきましょう。観たアニメは忘れましょう。でも培った企画力と説明なしで未来に連れていくのはそのままに、次回にお会いしましょう。
【PS4】Detroit: Become Human Value Selection
- 作者:
- 出版社/メーカー: ソニー・インタラクティブエンタテインメント
- 発売日: 2018/11/21
- メディア: Video Game