17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

今季のアニメーションの1話だけを観て今のモード(形態の流行)を全て決める最悪のアニメレビュー

海外出身スタッフによる圧倒的な背景美術『ソマリと森の神様』

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ソマリと森の神様 視聴11分

本編のキャラクターや大筋以上にすごく考え抜かれた色彩設計と美術設計に目を奪われます。原作と比較して、イラストレーションや絵本みたい画風を意識しており、観やすさを優先した設計ではないことは確かなんですよ。

背景美術が物語の印象も変える

原作漫画のよくできた絵で、色彩設計的にはふつうであるものとアニメ版はかなり印象が変わっていて、まじめなレビューみたいに言えば「化け物が社会を成している中で、唯一の人間の子供が入りこんだ」という物語に呼応した、若干の違和感を感じさせる背景美術をつくり上げているんですね。

特に、絵本的な絵肌で柔らかく描きながら、どの色もわかりやすい使い方じゃないのが特殊。紫~エメラルドグリーンあたりのカラーパレットで、うっすらとした違和感が生まれています。

色彩の配慮UHFアニメの背景美術って「青空はほんとに青」くらい色彩の繊細な配分はないから、「いまこういうシーンなんだな」って説明する書割りで終わっちゃう中で、意外に観やすいアニメだけど、やや不思議な感じが残ります。監督の経歴をみるかぎりそこまで配慮があったと考えにくいから、これは美術監督の裁量が生かされているんじゃないかな、と見ました。

裏の2010年代日本アニメの変化とは、非日本語圏スタッフによるクリエイティブの変化

美術監督はニエム・ヴィンセントさん。ちょっと日本語表記だけではなく、英語表記でも調べて観たところ、最近はロマン・トマさんなど、非日本語圏からのスタッフを背景美術などに採用することで、アニメの体験をうっすらと変えようとしているところが多いのかもな、などと思うわけです。

メインのキャラやメカ、シナリオはわかりやすく日本人スタッフ仕事だけど色彩や背景美術、音楽周りは別の文脈を持っている非日本語圏スタッフの仕事である、というのが最近は気になりますね。

あんまり言及したことはなかったですが、「裏の2010年代、日本アニメの変化」を指摘するならば、(動画の外注といった下請けとはまったく別の意味で)非日本語圏スタッフの起用は無関係ではない気もします。『キャロル&チューズデイ』は特にその面が現れた一作だったと思われ、渡辺作品のなかでも違う印象になったのは無関係ではないのではないでしょうか。

湯浅政明さんのサイエンスSARUのアニメーターでありながら、取締役も務める韓国のチェ・ウニョンさんなど、そうしたスタッフが水面下でアニメの印象を変えていっているのではないかと思います。

サテライトはそこまで深堀りしたアニメートやデザインができていたところとは思ってなかったんですけど、以前から背景美術に非日本語圏スタッフを導入していたんですね。

ちなみにニエム・ヴィセントさんが日本人スタッフの変名だったらこの書き散らしは爆発四散します。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。