17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

深夜アニメ性描写の到達点『荒ぶる季節の乙女どもよ。』

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荒ぶる季節の乙女どもよ。 視聴フル

記事のタイトルは「オナニーを描いたから」ではありませんよ。到達点とは過激な性描写ではなく、性について、まったくもってどうしたものか悩むアプローチを指しています。深夜アニメでありそうに見えて、多くはないテーマですからね。

長年アニメ業界で仕事しており、セクシュアルなものが、どれだけ商業で機能しているか知り尽くしているだろう岡田磨里さんが、原作と脚本なのも興味深いですね。昨年は劇場版アニメの監督を務め、独自のポジションを固めつつあるなか、本作がアニメ化された意味は大きいでしょう。

もともと原作を別冊少年マガジンで連載していたり、実質的に彼女のプロジェクトですよね。『荒ぶる季節の乙女どもよ。』はそんな岡田さんが中核となった、セクシュアリティがテーマとなったしたアニメとしてあるのでした。

エロとバカのふりをしている

「やらないわけには、いかないのです」このコピーは、女子高生のセックスを推す内容に見えます。ですが、実際は真逆ですね。文学からエンターテインメントまで、セックスの情報が溢れているんだけど、本人の感覚とそんな情報との折り合わせができてなくて戸惑うアニメなのです。

社会に溢れたセクシュアリティの価値と、自分の感覚がハレーションを起こす。これは女性向けの漫画雑誌では、古くから少なくなく見られるテーマです。しかし本作は、原作が男性向け漫画雑誌で連載されているんですよね。そこに意味があります。

いちおう高校生の女の子が小説の性描写を口にするみたいな、エロとギャグが主旋律の漫画だって見せかけている。でも本流にあるのは、昔からずっと存在している、女の子のセクシュアルな問題ですよね。

ここにエロとバカのふりをした企画で商業のラインをクリアしつつ、作家が本当に描きたい部分を推す岡田さんの(または別マガ編集部の)企画力と作家性の手腕が垣間見えもします。

パステルで描かれる性のこと

深夜アニメのフィールドでセクシュアルな表現をやるときって、ほとんどの場合は身体を強調しちゃうデザインになりますよね。前シーズン(とほほエロしか取り上げていない時期です)では『なんでここに先生が?』とか、ああいうかんじ。

ポルノがテーマじゃないにしろ、デザインの方針は多くのキャラクターで共通しています。ではセクシュアルに対して、疑念を持っているアニメのデザインはどうなるのか?

キャラクターの肉体を強調させるデザインをとらないのです。彩度は抑えられ、パステルカラーが基調になる。前に『クズの本懐』が放映されていましたが、そのときも彩度は控えめになることを思い出しました。

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ふと思い出すのは短編アニメーション作家の水尻自子さんの作品です。あれはピンク基調のパステルなカラーリングで、寿司や猿を描きながら、ぞっとするようなセクシャルな手触りを描いているのですね。

それにしても、国ごとに商品として消費するセックスに溢れている度合いで、消費されるセクシュアリティをもつ当事者にとって、性をどう表現するかどれくらい変動はあるんでしょうか?ちょっと興味ありますね。セクシャルの取り扱いって社会ごとにすごく違ってくるので。

スウェーデンやベルギーのように、男女問わず、がちがちに性教育ならびに相手の人格を尊重する傾向を持つ国の作家がセクシャルについて描くとき、日本の水尻自子さんから今回の岡田さんのアニメみたいに、危ういものを撫でるかのような作風になるのでしょうか?違う気がするんですよね。

『荒ぶる季節の乙女どもよ。』は地味に見えながら、時代だとも思います。この10年、かなり男性向けのフィールドだった深夜アニメでも、女性監督や作家が台頭してきました。

そこで岡田さんは、いろんな意味で当事者としての作風が強い脚本家として活動し、今回のようなセクシュアルなテーマを通すまでに至りました。そこに、ちょっとした時代の変化を感じなくもないのです。

正直なところ、同じテーマを持つ女性作家も、作品もたくさんいる。でも、ほぼ男性向けのフィールドでこれを通してきたこと自体に意味があるでしょう。岡田磨里さん自体のポジションの意味を感じさせるでしょう。それが、到達点なのです。

ところで今回はセクシュアル描写について、岡田真理さんニアイコール水尻自子さんの仮説で捉えましたが、冠木佐和子さんの長編バージョンみたいな女性作家も台頭したらすごい未来になるのになあと思いましたよ。観たアニメは忘れましょう。そして培った技術とモードも投げ捨てて、ゴキブリ体操でお会いしましょう。

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