17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

ここ数年のシャフトで最高傑作では『豊島区×アニメイト「池袋PRアニメ」』

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実際のところ、広告アニメーションの世界でトップのスタジオが関わったとしたらどうなるのでしょうか?これが並外れた完成度になってしまうんですよね。松本理恵×ロッテの『ベイビーアイラブユーだぜ』みたいに。

 

最近のPR系でもタイトルやパッケージには気を使う中、「池袋PRアニメ」と簡素な題名ながら、シャフトの最良の部分が3分に納められています。シャフトはある時点から商業アニメーションのフォーマットでやれる、量産化と表現の両方を追ったスタジオですが、なかなか今回のような作品は観られないのではないか。

 

この書き散らしでは繰り返しになりますが、短編アニメーションでは脚本もキャラクター(の性格描写)もほぼ捨てて、アニメートとデザインのみで勝負します。そこで本作では、これまで培ってきた「物語」シリーズから「まどマギ」のイヌカレー起用みたいに、メインのビジュアルと大きく異なる表現を導入していくスタイルをふんだんに使っていますね。

近年のシャフトが、どこか保守的な仕事ぶりに見えるのに対して、「池袋PRアニメ」では全盛期の要素が凝縮されており、そして長編アニメで生まれてしまう、どことない退屈さや失敗もなく、安定して観れる一作です。

それにしても、映像単体で観ればかなりの完成度を持っているにもかかわらず、公式の再生回数や認知度がそうでもないんですね。シャフト側の力の入れ方と、実際のPRのバランスはどうなんでしょうか?これが、広告アニメーションの謎でもあります。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。