ヒトトキ桐生足利 視聴フル
誰も話題にしておりませんが、人知れず広告アニメーションの世界は広まっております。広告によっては話題のVtuberを使いたいですよね。日清UFOの輝夜月みたいに。さて、そんなブームもあって、群馬県桐生市と、栃木県足利市がPRしている、2019年3月19日に公開された「ヒトトキ桐生足利」シリーズでもVtuberを起用しているそうです。
パッと見て思いますよね。「えっ!?どこにいるの!?」……わかるはずありませんよ。声優として参加していますから。
地方。わたしたちは侮っていたかもしれません。ポニーキャニオンが関わりながら、地元TV局の深夜番組を流しているかのようなオーラに満ちているのです。
「ヒトトキ桐生足利」は家族4人の人生を季節ごとに描いたシリーズです。それ自体は悪くないのですが、群馬テレビのCMを観ているような気持ちになるのはどういうことでしょうか?
やはり、このプロジェクトに掛けられたコストということになるのでしょう。わずか2分ほどの尺にかかわらず、祭りのシーンは止め絵でスルーする省力化が炸裂。力をかけていないんです。
ただこうしたコンセプトゆえか、壮年に差し掛かった男性が主人公にフィーチャーされるという、ほとんど見ることのできないアニメも登場しています。秋に死を持ってくるストーリーも珍しく、省力とも相まって、沈痛なムードを醸しています。遺品として渡された着物から、足利の織物をアピールするアクロバティックな構成でまとめています。ある種、商業アニメでほぼ観ることのできない内容といっていいでしょう。
それにしても、肝心のYoutuberはまだ見当たりません。いったいどこにいるんだ?こちら「Winter」編にて、声優として3名が参加しております。さあどこだ?高校生の息子が惚れている同級生の女の子?先輩とか?……友人A、B、Cでした……華がないどころか、目つきまで悪い。カレールー抜きのカレーにするどころか、ご飯まで固い。
誰が得をするのか?Youtuberたちはこれでいいのか?噛みつかないのか?と思い参加した「宇佐美ユノ」、「花笠イリヤ」、「くまお」それぞれを確認しました。するとどうでしょう。そこにも「地方」の問題を感じずにはいられないではありませんか。
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……
21世紀を生きる我々は、インターネットを日常的なスペースとして活用しており、そして現実のレイヤーの一つとして捉えています。そこには往年のサイバースペースの夢や、未来技術を観る淡さがあるわけではありません。現実の延長線上なのです。
Vtuberは一部の評論家に、やはり未来技術、新しい可能性という文脈でとらえられていました。しかし、ぼくは日常になり、夢がなくなる退屈さのほうがずっとクリエイティブだとおもっています。上の、名もなきVtuberを見てください。彼らが、あまりコストの掛けられていない「ヒトトキ桐生足利」と絡み合ったことで、インターネットにもまた「地方」が存在していることを確認できます。地方、地下、日常。観たアニメは忘れましょう。でも培った地元活性はそのままに、次回にお会いしましょう。
>id:hararuya さん ご忠告をありがとうございます。赤面ものでした……