17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

マルイの次なるCMアニメ、ファッション何も関係なくてすごい「そばへ」

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そばへ 視聴フル

仕事で渋谷を歩いているときに、モニターでこのアニメが流れ「マジで?」と思いました。

前回の『猫がくれたまぁるい幸せ』ではマルイの客層に合わせた、社会人の女の子が生活していく姿を描いたものでした。最新作『そばへ』はまったく生活感もない。それどころか美少女とマスコットキャラ、ヒロインが意味不明な髪留めしてるみたいな、わりと深夜アニメ客層に近いデザインなんですよ。

夜の街中で、福原遥の声が響いていました。いまそこまで突っ込んでいってもOKなんだ、と思ったのでした。

 

宝石の国』を制作した株式会社オレンジによる、セルルック3Ⅾアニメーションです。劇伴は、いまや日本アニメーション界の最重要コンポーザーに上り詰めたと言っていい牛尾憲輔氏が担当。格調だけでいえば、劇場版みたいに感じてしまうものになってます。

街中に流れ、深夜アニメチックなデザインで、福原遥の声が流れたにも関わらず、そこまで座りの悪さを感じなかったのは時代のせいでしょうか。ファッションストアが並ぶ道のあいだに、ガラス越しに「少女歌劇スターライト」のポップが展示されています。

アニメやオタク趣味も、すっかり渋谷の風景に馴染んだということなのでしょう。過剰にキャラクターや声優を推した構成ではなく、傘の精霊が踊るビジュアルに叙情的なエレクトロニカが絡み合う内容です。映像を優先していることも、このアニメが街の風景に馴染む理由のようにも思えたのでした。

そこにはアニメ『宝石の国』のオーセンティックな部分だけが抽出されたようでもありますし、いろんな意味での時代の変化も感じるのでした。マルイのアニメであっても、もうキャラが深夜アニメよりな、あれなデザインでも問題ない。『ベイビーアイラブユーだぜ』ですら、なんとかファッショナブルなキャラクターデザインをとっていたわけです。

でも街で流れていても、それなりの風景としてよしとなるのも、もしかしたら「牛尾憲輔が劇伴をやればほぼすべてのアニメ、ファッショナブルでスタイリッシュになる説」ということかもしれません。ラウンジミュージックといいますか、ラウンジアニメーションとしての広告アニメなんだろうか?

そしてそもそも、ファッションのコマーシャルらしい部分がまったく見られない。映像一本の勝負。にもかかわらず、繰り返しますが深夜アニメ寄りデザインという。そのことがすごい。マルイは一体何を目指しているのでしょうか?そんなことを思いながら駅へ向かいました。

観たアニメは忘れましょう。でもいきなり2019年冬のモードをぶっちぎったことはなかったことにしつつ、次回にお会いしましょう。