17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

アニメほど実質、学祭の演劇に等しいジャンルはない

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アクションヒロイン チアフルーツ 視聴13分

電気グルーヴとかに憧れた実はセンスのないイタいひとのやる、学祭のコントをみたことはあるでしょうか。あのときぼくは空気が凍り付き、時間というものが永劫へと変わる瞬間をはじめて味わいました。

 

アクションヒロイン チアフルーツ』の冒頭の戦隊シリーズのパロディのクオリティ、まさに学祭コントのひとたちがやるような、あのぬるいレベルです。忘れていました。いま学芸会が最も受け入れられ、進化するジャンルが商業アニメであることを。ぼくはまた、時が別のものに変わる瞬間に立ち会ったのです。

 

 アニメは本当に学芸会に優しい。学芸会を描く天才である山本寛が演出に関わっていた時代の涼宮ハルヒ、あとのスクールアイドルなどをふりかえると、まるで学芸会を描く能力が過当に上昇しているようです。

 『チアフルーツ』では冒頭、戦隊ネタのパロディのようなシークエンスとOPが入ります。このパロディのぬるい感じはまるでジャニーズだとかAKBだとかが既存の何かをネタにしてコントをやるような、客層がお目当てのアイドルに萌えてるのを担保にしたぬるい感じなんです。ハルヒ幻の自主制作映画による初回放送からもうすぐ歴が一周する現在、ふりかえれば中学高校生くらいの年齢のアイドル主人公のアニメ、というのもアイドルとファンの生暖かい関係みたいなものかもしれません。アニメではファンの質がそれでもなにかが100倍くらいあるんだと仮説をたてているのですが、めんどうなので証明はしません。以前書いたこちらから推察していただければ幸いです

 

ほんと『チアフルーツ』はかわいいですよ。だってめちゃくちゃですからね。主人公の女の子の走るアニメートのずんどこ感だとか、倒れこむ女の子とぶつかるのかなーとおもいきやすばやく倒れないようにさばくとか。これ笑わせようとしてるのか天然なのか微妙なとこなんですけど、演出側は意図的でもキャラデザとアニメートの質が危ういがために天然な感じしますね。にせのラブライブことりちゃんいますからね。

 

アイドルはある程度技術があるけど本質的な歌唱やダンスにはほどよく行き着かないくらいがスキがあって萌えられるみたいなのをいつも狙ってるんだと思います。もうね、いまの段階ではものすごい技術とか作画とかシナリオとかそんなバズんないんですよ。アニメートからシナリオまでトータルの質が高いのが売れるなら『僕だけがいない街』はもっと当たってるはずですからね。作家性とか作品性そのものがうっとおしいというのあるじゃないですか。まじで批評は意味ないですからね。(意図して作家性や作品性を消していくことを表現としてやっているなら最前線のありかたなんですけど。それは職人的に請け負った仕事をこなすという意味とは全く別ですよ。)

 

スタジオジブリの停止によって、逆に劇場版長編が多数のアニメ監督を盛り上がりつつある昨今では作品性や監督の作家性の批評に意味は出てきてると思います(劇場用フィールドってそういう場所だし)、そっちにウェイトがかかってきているのもあってか深夜連続長編アニメではいよいよ無意味だな~でもそれは作家性とか作品性の自意識をまったく期待されていないという意味で新しいのかもな~とおもってます。

話がずれまくりましたが観たアニメは忘れましょう。それから培った技術とモードも投げ捨てて、次回にお会いしましょう。

 

失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫)

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