17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

「亜人」感想 ”セルルックの違和感が売り”と”もしかしてヘタかも”は紙一重

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 亜人 視聴トレーラーとCMのみ

 

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 商業アニメーションではセルルック3DCGスタジオでは「ブブキ・ブランキ」のサンジゲンと並んでポリゴンピクチュアズが台頭していますが、今シーズンで並んだ2作を見比べるとその目的地がちがいすぎるんじゃあないか、と思います。

 

 セルルック3DCGの最終的な目的地ってなんでしょうね?「パッと見は2D作画のリッチな映像にしか見えないが、実は3DCGであるという人造人間が町の人間に混ざりこむインスティテュートのような感じ」と今遊んでるゲーム「Fallout4」になぞらえた例えか、それとも「セルルック3DCGでしか得られない表現を追う」という側なんでしょうか。

 

 サンジゲンの「ブブキ・ブランキ」は完全に「2Dにしか見えないが実はセルルック3DCGが化けた姿」が最終目的にあるのは確かなんですが、ポリゴンピクチュアズの場合はセルルック3DCGが持っている違和感で推したいのかもと思っていました。でもちょっと違うのかもしれません。

 

 2D手描きと3DCGというのを考えますと、アメリカの商業アニメーションではディズニーは1コマ打ち(1秒に24枚の作画・ぬるぬる動くってやつ)が基調にあるアニメーション*1なんですが、やがて3DCGアニメのピクサーなどが台頭してきます。

 

 長編アニメーションでもともと1秒24枚が基本であったゆえなのか、3DCGアニメが台頭してもそんなに2D3Dの根源的な誤差はなかったのではないか、と想像してますが想像なだけで検証はしてません。

 

 日本のアニメがこうしてセルルックでも、3DCGとわかる作りでも何か抜けの悪さあるのは3コマ打ち基調のアニメートってのはあるのかもしれません。「亜人」のアニメートの場合、これはサンジゲン「ブブキ・ブランキ」が2D手描きアニメの3コマ打ち基調にシーンによって2コマ打ち・1コマ打ちを使用するタイミングを研究して動かしているのと比べると、もともと60fpsのフレームレートで動いていたものを8fpsに下げただけみたいに見えてしまいます。

 

 「ブブキ・ブランキ」は3コマ打ち基調の2D手描きアニメを観る感覚にかなり近づいているんですが、「亜人」はたぶんそこが甘くて単に3DCGアニメがガクガクして動いているみたいに見えてしまいます。それだけではなく、2D手描きに擬態するデザインではなく、3DCGであることかバレバレのカットも多々あります。

 

 ただ、それが「シドニア」に続いて原作の持つ違和感に寄っているのだともいえるのですが、日本アニメ(-ター)見本市の「世紀末いんぱくつ」などなどのセルルック3DCG作品らと比べると「もしかして、ポリゴンピクチュアズはヘタなだけだったりして…」という疑惑が生まれたのも確かです。「山賊の娘ローニャ」でケチついてる感じ、まだありますね。

 

 観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

 

 

亜人(1) (アフタヌーンコミックス)

亜人(1) (アフタヌーンコミックス)

 

 

*1:それをフルアニメーションと称されがちなのだが実は違うらしい。

 

 ディズニーもカットによっては2コマ打ち(1秒12枚・丁寧な動き・たぶん今シーズンでは「僕だけがいない街」が要所要所で多用してて豪華)や3コマ打ち(1秒に8枚・枚数を削ることでスピーディさを出したり、独特のアニメートが可能に。今季なら「dimension W」がこれ基調の魅力ある作画)を使用しているし、また1枚で止めるってのもある。すべてを1コマ打ちで作っているわけではない。シーンによって使い分けている。ということは”すべて1秒24枚の作画をし続けることこそフルアニメーションである”というのは実は誤謬みたいで、その勘違いによって生まれた作品もけっこうあるらしい。

 

 単にディズニーは1コマ打ちが基調で日本の商業は3コマ打ちが基調で、シーンによって1コマや2コマ3コマを使い分けているというだけのことというみたいだ…ってごめんちょいまだ曖昧です。