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17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

今季のアニメーションの1話だけを観て今のモード(形態の流行)を全て決める最悪のアニメレビュー

ルパン三世のデザインの崩壊と再生 

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ルパン三世 視聴フル

 

 また一つ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。ルパン三世のデザインはアナログからデジタル製作に変わった中で一度死に、しかし進歩したデジタル製作によって遂に蘇ったという崩壊と再構築の過程が見えて最高でした。

 


 おそらく初代シリーズ~3rd、そして「カリオストロ」から「複製人間」、TVスペシャルの90年代中ごろくらいまでのアナログ制作されていたころは最も素晴らしい時代のアニメートだったと思います。モンキーパンチ原作の海外漫画のラフなタッチと猥雑さを持った画風と、宮崎駿はじめ大塚康生などトップアニメーターが集った描線による生き生きとしていたアニメートの相性はよかったと思います。

 

 でも時代は変わり、2000年代以降のデジタル製作以降、描線の勢いは死に均一となり、もの凄く記号的になり魅力は掻き消えます。クリンナップされたデザインになったあたりから原作のラフな猥雑は掻き消えていき、アナログ時代にあったアニメートの良さも消えていきました。同時にゴールデンの顔になり過ぎたのもあったのでしょうか、ビックリするくらい脚本も猥雑さも殺伐さもなくなっていったと思います。

 

 あの頃くらいからTVスペシャルやOVAがみるみるうちに「なんかルパン面白くなくなってきた…」と無残な出来になっていったことはいろんな人が覚えあることでしょう。作ってる方も分かってるのか、「GREENvsRED」とかルパンや次元たちの初めての出会いのような、原点を取りもどそうとするスペシャルを描きもするんですが、もはや基本的クリンナップされたデジタル製作のデザインのままでは凋落は止まりませんでした。

 

 コナン君と共闘したあたりはもはや死に体、だれか終わりを見取ってくれと思うばかりでもはや「バイク王」のCMくらいしか往年のムードが無いくらい水準が落ち切っていると思ってました。

 

 商業アニメのアナログからデジタル変貌によって完全にデザインのルールは変貌したと見ます。かつてのセルアニメの方法をそのまんまデジタルに移し替えても、そこには何一つとして味わいが無いだけなので、3DCGも利用したデジタルならではのリアリズムを追うか、またはデジタルで可能になったエフェクトやデザインを使って洒落て見せるようにするなどして完成度を上げます。

 

 だがしかし、デジタル製作はこれまでのセルアニメの制作を容易にしてよりクリンナップされた画面を作るだけに留まりませんでした。生の描線をそのまんま出しながら、アナログ時代では不可能だったより繊細な色彩設定やグラデーションの使用が可能となり、デジタルの中でアナログの質感を追う、という「かぐや姫の物語」などを代表とした手法が出てくるようになりました。

 

 変わり目になったのは深夜帯にて山本沙代の「峰不二子と呼ばれた女」が登場したことでしょう。近年のTVスペシャルのくそのようなデザインに反抗するかのようにラフな描線や勢いを残したまま、灰色の色調にて猥雑で暴力的な内容、なぜか菊地成孔までBGMに使用した内容によって、峰不二子解釈に賛否がありながらも強力な原作のラフさ・初期シリーズのアニメートのデジタル製作リバイバルは成功していたと見ます。それは続く「REDLINE」の小池健による「次元大介の墓標」によってそれは繋がっていきました。

 

 山本&小池作品は往年の猥雑さや暴力性やシニカルさを呼び戻すデザインの一方、監督の独自解釈が強く評価が分かれたりしたのですが、デジタルで手描きのラフさ、猥雑さ、シニカルなそれを生々しく表現することを通したことが、今回の新作に繋がったことは確かではないでしょうか。色彩設定はもちろん、イタリアの街並みから登場人物のデザインやファッションも非常に良いです。レベッカのデザインやファッションも下手にルパン達70年代風味に合わせず今の形のまま、ルパンらのデザインと拮抗してるのもすごいのではないでしょうか。

 

 原作からアナログ製作時代に培ってきた魅力が完全に崩壊したデジタル時代から幾数月、深夜帯にて作家性ある監督の再解釈を経て、ようやくデジタル時代にて原点のラフさと猥雑さある線の生きるデザインを獲得し、再生した一作という意味でここ10何年くらいの鬱屈が晴れる出来だと思います。しかもトータルデザインは今年ぶっちぎりでいいんじゃないでしょうか。特にOPで3DCGの味気ない車を五右衛門が切り裂いて手描きのフィアットが躍動するっての皮肉が効いてますよ。もういま車の描写ほとんど3DCGで済ませてて背景扱いだからな。

 

 セルルック3Dの躍進などよりクリンナップされて手描きのラフさが消えていく時代、手描きでしか成立しないデザインが非常によいです。あとはこのアート・デザインのままTVスペシャルもしくは劇場版で広く戻ってくれたらなあと思うばかりです。

 

 ちょっとアクションシーンのアニメートのタイミングぎこちないけどほんとうにすばらしいですよ。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。

 

 

 

 

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