映像やコンセプトに関してはもう評価は終わってんですが、テキスト的には「ウォッチメン」以降のアメコミのモダンエイジをながめるみたいな見方に最終的に集約したほうが収まりいい気します。最終的に日本の世相ってのはどうでもよくて、つばさちゃん覚醒から対ゲルサドラにいたるヒーローが巨悪を討伐すると基本構図の再解釈くらいにおさまったらいいと見てました。
Aパートまで観ながら思ったんですが、空気がどうたらとかコンセプトはともかくとして、つばさちゃん&ゲルセドラの関係によるヒーローとボスの構図の再解釈だとおもしろいんすよ。ベビーフェイスとヒールが揃って世の中を善意で悪くしていって、やがて世相の中で二人が殺し合わなきゃならない。でもこの二人の背景を掘り下げる描写がないからクライマックスにカタルシスがない。状況描写と並行してつばさちゃんのバイオグラフィを掘り下げるシナリオが用意されてないからいまいちよくわからん。
とかいってでたらめ考えながらBパートに入ったら最後に何もかもネタばらし!しかもTVで前首相ごと!バカかよ!もういやだ!私たちが本当に戦うべき空気はなにもかも口で説明しなくちゃ通らない(と思い込んでいるのかもしれないし、すべてを説明するようにしないと脚本にGOサインがでない?)ことだよ!邦画もなにもかもどうなってんだよ!ふっざけやがって誰だこの作品がアメコミのモダンエイジとか言い出した奴は!オレだよ!
ついでにネタバレして道連れにしてやる!モダンエイジの皮切りとなったウォッチメンでは、作品後半に世相を納得させるためにある意味で近似した展開になります。しかしあまりにエグい方法だったためヒーローたちは真相を覆い隠すのです。そこで凄絶な結末に突入します。
ウオッチメンはスーパーヒーローコミックの構図が社会状況の現実に晒されるの中で打算的な方法を取らざるを得ないことに色気があって、ヒーローの前提である確かな正義を遂行しようとするロールシャッハがヒーローたちの中でほとんど無能に近い狂人として描かれる皮肉が全編を貫いているのだけど、インサイトのこのオチ手前はなんだろうね?ままごととはいえ政治や社会を扱ったにもかかわらず、なにもかも口で説明したり真相を腹の中で抱え込まずベラベラしゃべるみたいのは子供ですって。
予想は全外れでひどいオチのほうに行きそうですが、TVで真相告白でまったく終わらない、真の破滅と殺し合いみたいにまだひとひねりあるんでしょうか?初のワンクール眺めるなんてやってみましたが案の定脚本の問題にぶち当たります。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。
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