17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

絵柄がキモいことになっている「響け!ユーフォニアム」

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響け!ユーフォニアム 視聴フル 制作京都アニメーション

 

 また一つ現れました。瞬間的に熱しすぐさま忘れられるために生まれ、次の瞬間に繋げるための礎です。

 

 …とかひでえ前口上に反して、今回ばかりはかなり京アニも本気になっているのか異様に良いです。

 

 正直この嫌がらせ書き散らしやっててほとんどの場合げんなりするなか、何かガチなところを見出すプロレスを観るかのような気持ちがほとんどですが、マジに培われた技術とモードの蓄積が本作で実現されているゆえか素直に感動してしまうシークエンスがいくつかありました。

 

 きめ細やかな仕草や表情のアニメートはもちろんですが、吹奏楽をモチーフにしているゆえの息を吹き込むという仕草を本編を通してのテーマに据えていることが、美しいシークエンスを生んでいます。冒頭の桜の花びらを掬い上げ息を吹きかけるシーンはけた外れに素晴らしいです。

 

 完全にUHFでの商業アニメーションで観れる中では、今シーズンのなかで最高水準でしょう。アニメートの傾向から演出まで省力な部分が少ないです。脚本とかキャラクターという意味を別にして、日本の商業アニメーションにて培われたおそらく正当なアニメート技術がもつ美しさをもっとも現代的にアップデートして見せていると思います。この辺は日常情景モードだった「シンデレラガールズ」と比べると完全に差があります。

 

 しかし問題がひとつあります。なにか絵柄がキモいかんじを何故か受けてしまいます。

 

teenssexandwarmode.hatenablog.com

 

 皮肉なもので、アニメートやデザイン、美しさそのものの追及というのはけっしてトレンドにそぐわないです。これまでも京アニネタに関して思ってましたが本来追及しきりたい部分と主要な客層に合わせていかなきゃならないことのアンビバレンツをどこかしら感じてしまいます。

 

 絵柄がキモいってのは、ぼくが感じているそこんところの齟齬ゆえにそう感じています。キャラデザの絵柄はほんとにトレンドや客層への対応が凝縮されてるもんですが、何か味を無理やり過剰にしてる気がしてならないです。

 

 けいおんあたりを振り返るにアニメキャラデザのほとんどが持ってる、俗悪なわかりやすさってのが大手をふるっていたころ、いかに色調を合わせ、単純なエロも抑えシックに薄口のバランスに仕上げてた先達だったはずが、今回逆を行ってます。彩度を高めにして頬に赤みをつけ、目の色や描き込みも過剰。タイトなアニメートに対して媚び媚びです。それがキモいかんじです。そのわりに「そのスカート丈は何です?」とかアニメ特有の俗悪エロデザに突っ込むシーン入れてるし。

 

 原作のイラストの傾向をみても薄口でシックにまとめることも出来たはず。むしろ水彩調のデザインで行くことも可能だったでしょうし、ぼくはタイトなアニメートに見合ったキャラデザインの方で観たいというのがあります。でも、それは受けがわるいんでしょうね。

 

 アニメートのタイトさ、レイアウトの美しさというので客層は動かないため一番知覚しやすいキャラデザに味をもの凄く足しています。あとOPとEDの演出やカットにわざと「けいおん」と同じ演出やカットを持ってきてるのも、最先端技術の反面、主要な客を振り向かせようとする感じを受けます。

 大変なのは予想付きます。「おっぱいを引っ張る紐ファッションが~」こういうの振り向かすわけですから。

 

 恐ろしく正当な技術ながら現代の東映動画全盛期とかジブリのような路線に意外に行かなかったりと難しいですね。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回にお会いしましょう。