17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

ハードボイルドアイドルアニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」

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アイドルマスターシンデレラガールズ 視聴フル 制作:A-1ピクチャーズ

 

 もはや膨大な金をかけられ、質的に保証はあるのはソーシャルゲーム原作のアニメなのか?「バハムート」とか。そんなことはどうでもいいのですが、なにか本作は意外にタイトルの作り上げてきたイメージとはどこか真逆なハードそしてタイトな気配を感じます。

 

  まず原作ソーシャルゲームですが、今考えれば女の子のキャラデザイン、アイドルネタデザインとしてシンデレラガールズは空前絶後だと思います。

 

 あれはもう単純に10代が主ってだけでなく30代までフォローしてあるとか、女子高生とかだけでなく保母さんからキャバ嬢みたいのまで混ぜ込んでいるなど各キャラの広さは通常のラノベアニメのおよそ10倍くらいの視野でやってるんじゃないでしょうか?

 

 コンセプトは日常のどこにでもいるいろんなタイプの女の子が実際にアイドルになっていく様でしょう。ソーシャルゲームの原作では私服をひっぺがして明日なき年収の姿にしていくのが面白い*1のですが、アニメの本作、主人公は日常のどこにでもいる様々な女の子のひとりひとりというのが京アニあたりが切り開いてきた強力な日常描写法と混ざり合うことにより、まさかの驚異的な変貌を遂げています。

 

 OPのバリバリのアイドルマスターソングの明るさと実際の本編の演出はまるで真逆です。写実的な背景に、モブの登場人物の一人一人にまで気を抜かず、それぞれが日常を生きている一端の描写。そう京アニあたりが切り開いたモードです。場合に寄っちゃ「Gのレコンギスタ」並みの世界観に対する信頼感あるといいますか。

 

 

 

 ちょっくら異質と感じ始めたのはこの辺からです。渋谷凛やプロデューサーらが会話しているようなカットではその周りを生きる人々が彼らの前を横切るというシーンがいくつかあります。主人公の少女たちはそうした日常を生きる人々の中の一人として紛れているかのようなカットが頻発します。

 

 アイドルネタであるに関わらず、女の子たちのクローズアップのカットよりも引き気味の全体を映すようなカットがやけに印象深いです。アイドルマスター本編のアニメ化と比べてどこかしらクールな印象がそんな風に演出の中に現れています。

 

 ここでのアイドルのほとんどは日常の中のひとりであり、なので街の日常や生活のディテールが必須になる。やがて、そのディテールはアイドルネタならベッタベタにあざとくてナンボな描写と真逆な、一定の距離を置いた視点のクールでドライな気配をもたらしています。そこんとこに原作の膨大な女の子のバリエーションと現代アニメデザインの日常モードがかみ合わさった奇怪な化学反応を見ます。

 

 

 あと、もしかしたらいろんなところで言われてるようにプロデューサーの描写がそんな印象を補完してんのかもしれませんね。アイドルマスター本編アニメ化では便宜的にデザインされた、昔ながらのハーレムネタの主な客層を反映したメガネで気弱そうなアレでしたが、本作は真逆なタフで不器用そうなデザイン。なんでしょうか?女の子たちを統括する立場にタフでなければ生きていけないし優しくなくては生きる資格がないというそれを求めていての事でしょうか?

 

 それにしても「神撃のバハムート」といいソーシャルゲームみたいな界隈からなかなかハードボイルドになるってすげえな、艦隊これくしょんとやらもさぞ…(視聴中)………観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、次回は艦これ書き散らしで会いましょう…

 

 

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 00 ST@RTER BEST

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 00 ST@RTER BEST

 

 

 

長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))
 

 

 

*1:この一文でとっくにわかるひとにはわかるでしょうが、無課金でローラをモデルにしたキャラをリーダーにするくらいしかやってないです