2014年秋のモード終了!ということでベスト5です。今季の気にかかった作品と、それらはどう優れていたかの書き捨てです。
5・SHIROBAKO
わりと京アニやトリガー、シャフトらに次ぐ技術とオリジナルさで独自のブランドを形成しているものの、デザインや演出のどことない古臭さで落としている感のあったPAワークスが、楽屋オチという題材を通して持ちうる演出やデザインの技術を使って生々しい気配を込めたあたりがよいです。
4・寄生獣 セイの格率
基本デザインはダサい。音楽がダブステップなのも悪手(昭和の実証時昭雄あたりのドラマの劇伴のむーどのリバイバルにするとかいろいろあったはず)。
そのかわり日常の芝居や表情のアニメートと、寄生獣のメタモルフォーゼのアニメートというふたつを持ち合わせてる作画の面白味が大きいです。
3・神撃のバハムートGENESIS
もうあまりストーリーとかもどうでもよくて、主人公たちのデザインの良さとそれらの表情の豊かさやアクションを眺めてればそれでいいっつう感じ。 色彩の配色もよく、リアル型で実写的な作画の面白さでかなりのところ成立してると見える。
2・Gのレコンギスタ
もうねえ、新鋭のスタジオ、気鋭の監督など揃っていようが老舗サンライズ製作、ガンダムの創始者・冨野監督、メインスタッフ 吉田健一はジブリベースのアニメートと他と比較して伝統的で名のある演出や作画手法をもとにしてるこれが、かつてなく登場人物すべてが平等に存在価値を持つよう描かれ、動植物の動きすら手を抜かず架空世界を息づかせています。
SHIROBAKOと真逆。あれ主人公格のPA萌えデザインの女の子から外れるオッサンとかになると全然同じ世界観のデザインでなくなる絵になるし、生々しい息づきを映像に与えるのに楽屋オチまで遡らないとできないっつうか。
1・ACジャパン「やさしさは、想像力で広がる」
さあ今季ぶっちぎりのベストアニメーションはACジャパンのCMより「やさしさは、想像力で広がる」です!
現在活躍中のインディペンデントアニメーション作家・和田淳によるCM作品です。なにか抜けたユーモアで、どこかシニカル。わずか30秒の中で描かれる、フルに生々しい線画が躍動する中で月や水に変貌していくという、純粋なアニメートの面白さを描きます。
しかしACの目的である「嫌がらせしたり、されたりしたらどんな気持ちになる?アニメを3分とか4分だけ見て切り捨てるような文章を書いたり、ブックマークという安全地帯で理屈じゃなく脊髄反射で切り捨てるなんてどう思う?想像してみよう」という忠告のウェットさなどかけらもなく、やはりどこかドライな気配が強いです。
広告が求めるような忠告というよりかは、冷たい視線。それこそ和田淳の作風という感じがします。
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ということで今季はデザイン的なアプローチによって、通常のアニメートよりも一段上から俯瞰するようなタイプや、現行のアドバンスドデザインのテーマであるセルルック3Dの解釈も「シドニア」みたいな解法も出てきておらず新味に当たる部分が生きた作品は弱め。京アニやトリガーといったそうしたデザインの雄は紋切り型ラノベデザインで安牌切ってる感じです。
デザインや演出の切れが前提的に鈍い代わりにオールドスクールな作画や動画そのものの面白さが中核にある作品が印象深かったのが今シーズンの印象でした。世の作画中心で観てるってタイプは以上の作品どう観てるんでしょうか?
観たアニメもこの書き散らしも何もかも忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、来年にお会いしましょう。 以降はクラシックや海外作品、アートアニメネタになります。