Free! eternal summer 京アニは本当はかなり性格が悪いと思うよ - １７．５歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

Free! eternal summer　１話　視聴フル　製作　京都アニメーション

　近年の京アニは女の子のデザインでポルノっぽさ抑え、人物と背景のバランスを合わせたレイアウトやまるでスマホ画面越しのような画面のブレ、同時にフィックスによるカメラワークの多用によって、日常どうたらシーンを牽引して「セレクター・ウィクロス」から現在のラブライブあたりにまで繋がるデザインを先行していたのではないか、と見ております。

　ですが「FREE」を見たら野獣が解き放たれたかのようにポルノに振り切りまくっており、今時女の子だけでだらだらやってるアニメでもおっぱいパンチラばっかやってエロでひっぱるなんてのはほとんどなくなってるし、男の子だけのアニメでもここまでのことは少ないでしょう。どうなっているんでしょう。

　冒頭の風呂場で水への回想から、手のひらに溜めた水を見つめ、風呂の中に水着で座り込んでいる。このシーンはどう見ても風呂場でオナニーした後、手のひらに出した精液を見つめて脱力してる状態を婉曲的に描いてるとしか思えなくてヤバすぎるわけで、なんかBPO審議に問われたアニメが冬にありましたがそのギリギリなあれな感じすらなくもありませんでした。

　男女平等でしかも意外に老若男女も手を抜かない。人物と背景のバランスも合わす。その辺の京アニの現在の技術が一番自然にグルーヴしてるのは「氷菓」と「たまこラブストーリー」なんだと思いますがどう考えてもセックスを知ったガキのモードからは外れていくちょっと格調高くなってるのは確かです。
　

　でも「FREE」はキャラとそのポルノのとこにフォーカス当てまくってるので、かつてなく人物と背景のバランス合わすより人物そのものにフォーカスしまくり。絶対ちゃんと履ききれてない水着と下腹にフォーカスしまくりポルノグラフィティアゲハ蝶です。このぼくに人をクスリともさせないクソ駄洒落フレーズを綴らせるほどに、極端なポルノに裏打ちされるように極端なモデル体型の人間をクローズアップさせまくる形です。なので「氷菓」と比べると画面全体の緊張感って3割くらい落ちていますが（単純に全体の空間を見せる背景のパースやレイアウト合わせたりするのがむずくなる）、エロに絞れてる分観やすいってのはあります。

　A-1ピクチャーズやJCスタッフみたいに、ラノベやアニメの主要客層に合わせずーっとちょいダサでどこか抜けた部分を意識して、上手くなりすぎず気取り過ぎないようにして観やすく参加しやすくしてることに真摯になってるところと比較するに、京アニは本当は性格がかなり悪いとぼくは踏んでいます。「いまのアニメは日常だよ」とか言われ始めたころに「日常」。本当はラノベやアニメの主要客層のタコツボ臭さを無意識に下に見ていている「中二病」（これ、自社版権の作品ってことでよりスタンスが出てると思います）。FREEの露悪的なまでのポルノぶりにも「おまえらこれで喜ぶだろ」の感じあります。

　性格悪いんじゃないかという根拠にはすでに現在のスタジオの中でも極端に言ってジブリやディズニークラスの演出やデザイン・レイアウトのメソッドが構築されているゆえの技術力の高さがあるわけで、すでにラノベアニメシーンのクリエイティビティの狭さから逸脱しています。普遍的で強力なアニメ製作体系を持つ彼らは、その技術の高さゆえに無意識ながらラノベアニメシーンの主要な客層を下に観る形になってると思います。

　真の力は異常なほどのポルノで釣りながらガチで本気の能力は水泳のシーンにこそ注がれます。描くのが難しいとされる水。そのセルアニメの範囲でのアニメート。冒頭の水への回想。または桜に覆われたプール。雨。ポルノの裏テーマで水というエレメントへの追及がある気がします。

　それにしても夏のモード初頭で「女の子たちの背は縮んで、モデル体型のデザインはなくなった」と思いましたが、FREEでは男の子たちが極端なモデル体型と身長に合わせてかマネージャーやら顧問の先生やらは高身長で痩躯のモデル体型となっています。なんだか不思議であり因果ですね。