17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

今季のアニメーションの1話だけを観て今のモード(形態の流行)を全て決める最悪のアニメレビュー

ビル・プリントン”Bill Plympton”  シニカルなデッサンが連なるアニメート

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 Idiot and Angels (2008)トレイラー

 

 鉛筆画やコンテ画、油彩画や水彩画はその画具ごとの描写の勢い・生きた線の手触りを生かす。絵画やデッサンとして一枚の絵で完結することでそれを伝える。だがインデペンデント・アートアニメ界隈ではそうした描写の勢いや生きた線もまでも動画の中の勢いとして生かそうとする方向がある。フレデリック・パックやアレクサンドル・ペトロフなどなど・・・

 

 そうした流れの中で印象深い&見やすいのは、アメリカのビル・プリントンの作品だ。堅実なアニメート手法の元に、デッサンやコンテ画の勢いを付加したシニカルな気配を含んだアニメを多数制作している。

 

 

 アニメの場合の多くは滑らかな動画のために徹底してデッサンやラフのような描線を排除していき、記号的な表現にして統一してファクトリー化して生産していく。鉛筆画やコンテ画によるデッサンによるアニメートや、油彩画や水彩画の質感を表現するグラスペインティング(ガラスの上から画具を塗り、それを一コマずつ撮影していくもの)などは、その生きた描線の勢いの面白さと比例するかのように作業量の膨大さや作画統一の難しさ、商業的な展開の難しさなどによってファクトリー化というのが難しいため、少数精鋭か個人によるアニメ界隈でないとなかなか見れない。

 

 デジタル製作が導入された近年では、日本でも高畑勲かぐや姫の物語」など鉛筆画・コンテ画の質感をそのままに、長編のアニメ作品を製作することを可能にしていると見ている。

 

 ビル・プリントンは基本的にオーソドックスなアニメのキャラクターの動画の方法やレイアウトの取り方を元に、鉛筆画によるデッサンやラフの生きた描写を吹き込む。アニメやる以上何らかのデフォルメのデザインの方向に美的なものがあるけれど、プリントンが描くのはシニカルで下品。アメリカのそのあたりの感覚の頂点に「シンプソンズ」があるわけだけど、プリントンの巧みなデッサン描写によってどこか画家のベン・シャーンをもふと思い起こさせもする。

 

 また、作品によってはオーソドックスなセル塗りのものもあるし、どうあれプリントン特有のアニメーションの快楽は動画の基礎的な側面と一枚絵での描線のパワーの双方を理解していることに由来しているかに見える。

 

 

 

 近年ではデジタル作画も導入しており、新作の長編製作も著名なクラウドファンディングであるkickstarterにて資金を募り、獲得に成功している。インディペンデントではビデオゲームにせよアニメーション界隈にせよ、少数や個人でのレベルにてスポンサードを受けるのにクラウドファンディングの利用を多く見かけるが、まあそれは別の話だ。