17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

京都アニメーションの現在は?::ウィッチクラフトワークス中二病でも恋がしたい!戀世界征服~謀略のズヴィズダー~のモードレビュー

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 今季モードを見るこのブログ、いよいよレビュー書くには緊張感あるスタジオ・京都アニメーションなどの作品も含んでいきます。

 

 コンテの流れとトータルのデザインによるモード(形態の流行)だけを中心に眺めてるというひどい観方をしているわけで、脚本構成の評価は全部捨ててます。まどマギの3話、10話の大展開といった衝撃から虚淵脚本や「あの花」の岡田脚本といった脚本家の評価の高い作品が多く出ているにも関わらず、こうした評価はヤバいかも知れないなとふと思いましたが、でも上記の傑作て脚本無視して観ててもトータルデザイン既にかなり優れてるわけだし、脚本だけが優れていて評価された作品はあるのか?総合的なものだよな、というわけで第3回です。

 

 

 

 

 

ウィッチクラフトワークス 第4話「多華宮君といじわるな妹」視聴15分くらい
 
 世界的なハリーポッターブームは無視されてんでしょうか?というくらいウィッチと言ったら三角帽とマントデザインのまんまなのは、これはわざとダサいをそのまま持っていったということでしょうか?いや細かなデザインの気遣いを見るに多分そうなんでしょう。
 
 「まどか☆マギカ」とか魔法少女だとデザインの洗練は強いんですが、魔女になるとわざわざちょいダサの世界での勝負?でしょうか。(他の魔女のアニメを知らないのですが)。ヒロイン年齢が上のイメージになるから見る見るうちにクリエイティビティが持っていけなくなるから古いイメージとっていくんでしょうか?
 
 本気でオシャレにし過ぎるともう舌に合わなくなる。ちょいダサくすることで客が参加しやすくなり、マニアなら手のひらで飼っているつもりになれる。最近のアイドルもそういうわざとダサい範囲でそこからデザインを洗練させていく戦法は当たり前で、わざとダサくしているアニメ界隈と繋がるのはもはや当然なのか?とにかくそういう範囲の中で最大限にデザインしてると見ました。
 
 
 わざとダサいでクラフトワークネタ引用といういささか趣味的な気配、「スペース☆ダンディ」を思い出します。基本のコンテの進行や演出は旧来のままっぽい部分がデカいですが、召喚バトルらへんの召喚獣デザインの原色乱雑感デザインから3Dでの2Dセルとの違和感の少ないミックスぶりなど地力はスペース☆ダンディよりハナ差くらいで上かもなと思わせました。二つともわざとちょいダサいという範囲で最大限にデザインするという構築やっており、モード最前線には絶対行かないけどウィッチクラフトワークスはセックス分ややアドバンテージある気がします。
 
 

 

夜桜四重奏 -ハナノウタ- 第1話「サクラサク」視聴フル

製作:タツノコプロ

 あっこれ流し見範囲でですが、今期の中でかなり頑張ってないですか?ん?これもう終わってるのか!ニコニコに1話あったのでふと見ましたが、いいや今季に含めてしまいます!

 

 人と背景が一致していて、メインキャラが出張っている最中もモブは動いているし、基本的に人と世界が一致しているアニメートはかなり優れています。キャラの会話中にキャラデフォルメして背景が漫画演出という逃げもほぼ行ってないのもかなり技術と労力がかかっています。主要キャラのデザインから配色に至るまで、ギリギリまでダサい成分と洒落た部分の配分にかなり気を使ってるデザインやっており素晴らしいといえます。

 

 「ヒットの法則、やっぱ、ない」は鉄則にして真理ゆえ野暮な話ですが、しかしここまでやっていて本作のヒットがそこそこになるとしたら

「珍しいくらいキャラデザインが男女平等・老若男女平等の人物配分でモードが弱いから。」

「ガキのセックスか戦争どっちかのモードを強化するための様々な要素を削っていないから」

「なまじデザインも描写も質が高くリアリズムが底上げされているせいで、逆に中二病っぽさが際立ちバカバカしさ感が出るせい」

「ヤバいくらい脚本が悪いから」

のいずれかの気がします。すんません、野暮ですね。

 

 とはいえ近年のタツノコプロは「ガッチャマン クラウズ」といいトータルデザインの地力が異様に高いので、今後数年の間に半歩先のデザインを抱えて京アニ・シャフトらのようにモード最前線へと踊り出るのではないでしょうか?あれ?今年はその他にもあるぞ(ウィキを見る)えっ!「WUG!」このクオリティ差は一体・・・

 

ストライク・ザ・ブラッド 第14話「蒼き魔女の迷宮編Ⅱ」視聴7分

 

 ライトノベル発・男女平等の人物配置だけど女の子の方に圧倒的にデザインの労力がかかってる構成のセックスと戦争を知ったガキのトレンドは「とある魔術の~」シリーズがトータルデザインのトップにある中、「夜桜四重奏」「ガッチャマンクラウズ」のタツノコプロがかなりのところ上のレイヤーに立ったデザインでリーチがかかっていると見た一方、本作はデザインも表現も7年くらい遅れているかに見えます。

 

 

 

世界征服~謀略のズヴィズダー~ 第2話「食卓から墓場まで」視聴16分

製作:A-1 Pictures

 おおこれもデザインかなりうまいですね!あんま演出のデフォルメ逃げしないうえに特殊なテクスチャーの背景と人物の合わせ方による画面作りもコンテの流れも素晴らしい。

 

 オシャレすぎるとファンがビビって引くからわざとダサいレベルのなかで、そこでどれだけ上手くデザインするのか?ということですごく上手く、やや古さ・ダサさ・ベタさを洒落たデザインやってます。なんかこういう一般人の主人公がヤバい人たちにひっぱりまわされるタイプのギャグの内容も込みでやや古いタイプのそれですし。「マサルさん」は何年前だったか・・・

 

 A-1 Picturesというのはちょっと調べてみたら評判になってた「ソードアートオンライン」のところなんですね。京アニ・シャフト(そしておそらくは今後のタツノコプロ)的な技術かデザインが高度になり、一歩上のレイヤーからモードを俯瞰して作っているようなところではなく、ウィッチクラフトワークスやスペース☆ダンディ的なわざとダサい範囲で最大デザインをする路線では一番うまい所な気がします。

 

東京レイヴンズ 第一話「SHAMAN*CLAN -約束-」視聴12分

製作:エイトビット

 これも男女混合・青少年の戦争のモード系統ですね。なんていう競争率だ!「とある~」シリーズをを正統派最前線とするともうちょい男の子のほうにデザインの比重をかけているタイプと見えますが、面白いもんで戦争のモードで男の子主導で行くとトータルデザインがやや古いものになりがちでは?というのはここでもそのようです。

 

 東京という場所で陰陽師云々、というのはCLANPの「X」を想起させる意味でも古さを感じさせるわけで、画面作りなど比較的現代的な割に、古さに伴うダサさは抜けてません。

 現行モードで力を発揮する、人気の高い設定や舞台はみんな14-21歳の範囲はともかく、戦争でも女の子主体になって、男の子主体でしっかりモードの強さを発揮する場合は「うたプリ」とか「Free!」みたいにセックス路線でしょうか?

 

 
中二病でも恋がしたい!戀 第3話 視聴フル
 
 「ハルヒ」から「けいおん」まで3タテ状態でヒットを打って、2000年代後半までのモードを牽引してきたという京都アニメーションの現在の立ち位置とはファンにはどのように映っているのでしょうか?
 
 自分にはざっと見て、「けいおん」で完成しきった高いレベルでのキャラデザインから背景と空気感を重視した画面構成、ほぼデフォルメ逃げのしない(しても画面との空気感を壊さないレベル)キャラの動作や演技、無機物&奥や手前の移動カットなどでの3DCGのミックスによるスタイルこそが日常アニメのモードの質を保証していたと見ます。
 
 「氷菓」にはさすがの自分もビビりました。原恵一が「カラフル」でたどり着いたであろう昭和日本映画的トータルデザインの領域に、完成した日常描写を武器に深夜アニメレベルにて普通に踏み込むぎりぎりまで来ていたので、あれが京都アニメーションの現在の自然なクリエイティビティではないかと見ました。
 
 さて近年ですが、ラノベや萌え4コマからのアニメ化サイクルというのがあたりまえの中、ライトノベルブランドKAエスマ文庫を立ち上げることにて一般から原案となる小説を募集している形にシフトしていますが、京都アニメーションの半ばオリジナルアニメ企画というのを自前でラノベアニメ化サイクルを作ることで自作自演しているかのようにさえ見えます。(なんせ「中二病でも~」の受賞作家のは年齢もなにもかもわからない覆面作家といいますし、ついついはじめから企画が決まっていてライターにノベル版執筆させそれをあとで大賞として発表という自演を想像してしまいました。実際どうなんでしょう?)
 
 ですが、エスマ文庫発のアニメ「境界の彼方」から「Free!」に至るまで、もう高い技術でどうやってセックスか戦争を知ったガキのモードに足並み揃えようかしているかのようです。無理に異能力バトルやったり、無理に数シーズン前くらいのダサいデザインにしたり、男子水泳部でセックス優先にしていたりと足が速すぎるからわざと緩めて走っているかのようです。
 
 「中二病でも~」はエスマ文庫大賞第一弾らしいですが、これを今の京都アニメーションがやってるのは特に露悪的な気がしてならないです。中二病って、まさに超狭いラノベアニメゲーム界隈のクリエイティビティそのものの蔑視じゃねーか!
 
 その中二病になってるというキャラを超技術でわざと古くてダサい、髪が原色のキャラデザインのエッセンスで構成したりとどう見てもモードから半歩行ってる京アニがセックスか戦争を知ったガキのモードしか食べられない客の舌に合わせているという構図でしょう。もちろんちょっと痛いガキたちの青春風味に収まっていますが、もっと露悪的にやろうともできるとこを抑えています。
 
 最近の京アニの乗れなさ、というのがもしあるならば、すでにトータルデザイン力が高まり過ぎ上のレイヤーに行ってしまって無理にモードに合わせている感があるからかもしれません。
 
 勇気のいる発言かもわかりませんが自分はもう京アニはさらに上の舞台で、嫌でも高いクリエイティビティの闘い要求される劇場映画のジュブナイルジブリやらと闘ってくんねえかな、もうそういう領域にきてんじゃねえかなと外野席で観てますがそういうわけにはいかないんでしょうか。観たアニメは忘れましょう。でも培った技術とモードはそのままに、来季でお会いしましょう。