17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

京アニの『聲の形』とシンクロを果たしているとしか思えないシャフトの『3月のライオン』

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3月のライオン 視聴フル 制作:シャフト

 

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。20時更新を保つためついに来ました、シャフトの『3月のライオン』です。

 

 長らく京アニとシャフトを現行の日本の商業アニメ界のツートップとして語ってきており、なににもまして『けいおん!』や『化物語』、『まどかマギカ』の上手く既存ジャンルから2歩先のデザインを為してヒットした作品は、いまだに現れていません。*1

 

 アニメートや演出の方向性も京アニとシャフトは正攻法と邪道と綺麗に対照的となっており、これまではその対照も面白がってみておりました。しかし両者が現状の商業アニメーションから2歩先を行くデザインを続けていく一方、徐々に先述のような大ヒット作は遠ざかります。

 

 前回も書いたように客層や市場の欲望は下に向かうのに対し、クリエイティビティは上層へと向かうわけですからかみ合わなくなるのです。京アニもシャフトもすげえクオリティなのになぜか一部に凋落した、という残酷な評価を下される理由はそこではないかなと思っています。ですが上層を目指し続けた両者が、奇しくもまったく同じテーマのデザインにたどり着いているように見えるのが今回の『3月のライオン』と『聲の形』です。

*1:2歩先のデザインをしている作品自体は少なくないが、ヒットに至ってない

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